「退職代行 トラブル」で調べている人へ。
起きてから対処するより、申し込む前に確認するほうが早く終わります。
この記事でわかること
- 実際に起きるトラブルは5つに集約されること
- そのうち3つは、運営元の類型を確認するだけで防げること
- 「弁護士監修」と「弁護士が運営」の違い
- 申し込む前に聞いておく5つの質問
結論:トラブルの多くは、頼む相手を間違えたことから起きます
先に一覧を出します。
| トラブル | 主な原因 |
|---|---|
| 交渉できると思っていたら、できなかった | 運営元の類型を確認していない |
| 追加料金が出た | 料金に何が含まれるかを聞いていない |
| 会社が業者を相手にしなかった | 同上(交渉権限がない業者だった) |
| 連絡が取れなくなった | 実績や運営実態を確認していない |
| 有給が消化できなかった | 交渉できない業者に頼んだ |
5つのうち3つが、同じ原因です。
退職代行は運営元によって法律上できることが違います。 ここを見ずに料金だけで選ぶと、頼みたかったことが頼めません。
退職代行は運営元によって、できることが変わります。ここを間違えると、お金の話がまったく進みません。
| 運営元 | 退職の伝達 | 有給・未払い分の交渉 | 訴訟の代理 |
|---|---|---|---|
| 民間企業型 | できる | できない | できない |
| 労働組合型 | できる | できる | できない |
| 弁護士型 | できる | できる | できる |
民間企業が会社とお金の交渉をすると、弁護士法違反にあたる恐れがあります。これを非弁行為といいます。資格のない人が法律事務を行うことです。
条件のすり合わせまで頼むなら、受けられるのは労働組合型と弁護士型に限られます。円満退職ユニオンは労働組合の運営で、料金は公式サイトのよくある質問に「一案件一律22,000円で追加料金はありません」と書かれています(2026年8月時点)。


なぜ類型で分かれるのか
法律の側を見ておきます。根拠は弁護士法72条です。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で(中略)その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い(中略)ことを業とすることができない
「和解」が入っています。 有給の消化や退職日の調整は、会社との条件のすり合わせなので、ここに当たると考えられています。
つまり民間企業型が交渉すると、この条文に触れます。 だから彼らは交渉しません。できないのではなく、してはいけないのです。
| 類型 | 交渉できるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 民間企業型 | できません | 弁護士法72条 |
| 労働組合型 | できます | 労働組合には団体交渉権があります(憲法28条・労働組合法) |
| 弁護士型 | できます | 弁護士法72条の対象外 |
労働組合が例外になるのは、団体交渉権があるからです。 会社は正当な理由なく団体交渉を拒めません。
トラブル① 交渉できると思っていたら、できなかった
相談で出てくる形として、まずこれがあります。
「有給を全部使ってから辞めたい」と伝えたのに、業者が会社へそのまま伝えるだけで終わる。会社が「消化は認めない」と返してきて、そこで話が止まります。
民間企業型は、これ以上進めません。 押し返すのが交渉だからです。
| 頼みたいこと | 必要な類型 |
|---|---|
| 辞めると伝えてほしいだけ | 民間企業型で足ります |
| 有給を消化したい | 労働組合型から |
| 退職日を調整したい | 労働組合型から |
| 未払い分を請求したい | 弁護士型のみ |
自分が何を頼みたいのかを先に決めてください。 そこが決まると、選ぶ相手は自動的に決まります。


「弁護士監修」は弁護士型ではありません
ここは表示の問題です。
| 表示 | 意味 | 交渉できるか |
|---|---|---|
| 弁護士が運営 | 弁護士法人が事業者 | できます |
| 弁護士監修 | 弁護士が内容を確認しただけ | できません |
| 顧問弁護士あり | 相談先がいるだけ | できません |
| 労働組合が運営 | 労働組合が事業者 | できます |
「監修」と「運営」で、まったく違います。 交渉が必要なら、運営元そのものを見てください。

トラブル② 追加料金が出た
料金表に書かれている額と、実際に払う額が違ったという話です。
確認するのはこの4つです。
・料金に含まれるのは、どこまでか
・追加料金が発生する場面はあるか
・失敗した場合の返金はあるか
・支払いのタイミングはいつか
とくに支払いのタイミングは、手元にお金がない人には効きます。
| 支払い方 | 中身 |
|---|---|
| 先払い | 申し込み時に全額 |
| あと払い(後払い決済) | クレジットやPaidyでの立て替え。支払い義務は先に発生します |
| 完全後払い | 退職が済んでから払う |
「あと払い」と「完全後払い」は別物です。 前者は決済サービスによる立て替えなので、退職できなくても支払いは発生します。

トラブル③ 会社が業者を相手にしなかった
「弁護士でも組合でもない業者とは話さない」と会社が言うことがあります。
これは実は正当な言い分です。 民間企業型に交渉権限がないことは、会社の側も知っています。
ただし、退職の意思を伝えること自体は誰でもできます。 本人の使者として伝えるだけなら、法律事務には当たりません。
| 会社の対応 | どうなるか |
|---|---|
| 業者と話さない | 退職の意思は届いています。 2週間で契約は終わります |
| 本人に直接連絡してくる | 業者から「本人へは連絡しないように」と伝えられます |
| 条件の話に入ろうとする | ここは交渉なので、類型によって受けられません |
退職そのものは成立します。 止まるのは条件の話だけです。


トラブル④ 連絡が取れなくなった
これは業者の質の問題です。防ぐには申し込む前に見るしかありません。

| 見るところ | 何を確認するか |
|---|---|
| 運営元の表記 | 会社名・法人格・所在地が書かれているか |
| 労働組合型の場合 | 組合名が書かれているか |
| 弁護士型の場合 | 弁護士法人名が書かれているか |
| 相談の窓口 | 申し込み前に質問できるか。返事の速さ |
申し込む前に1つ質問を投げてみてください。 返事の速さと中身で、だいたい分かります。
私が調べた範囲では、運営元をはっきり書いていない業者ほど、料金の説明も曖昧でした。 逆にいえば、そこが明確なところは他も明確です。

トラブル⑤ 有給が消化できなかった
①と同じ原因ですが、金額が大きいので分けます。
有給が20日残っていて消化できなければ、1か月分の給与を捨てることになります。
そして、退職時は会社が時季変更権を使えません。 労働基準法39条5項の時季変更権は「他の時季にこれを与える」ための権利であり、退職日より後にずらす先が存在しないからです。
つまり本来は通る話です。 通らなかったとしたら、押し返せる相手に頼まなかったからです。


残日数が多い人ほど、ここで頼む相手の違いが金額に出ます。
申し込む前に聞く5つ
まとめると、この5つで大半は防げます。
1. 運営元はどこですか(会社/労働組合/弁護士法人)
2. 有給の消化や退職日の調整まで対応できますか
3. 料金に含まれるのはどこまでですか。追加料金はありますか
4. 支払いはいつですか。退職できなかった場合はどうなりますか
5. 会社が対応しなかった場合、どう進めますか
2番と3番で、ほとんどのトラブルは消えます。
答えが曖昧なら、そこは避けてください。申し込む前に答えられないことは、申し込んだ後も答えられません。


よくある質問
退職代行のトラブルについて、よく出る疑問に答えます。
- 退職代行を使うと本当に辞められますか?
-
辞められます。民法627条1項で、期間の定めのない雇用は申入れの日から2週間で終了すると定められており、伝える相手も方法も指定されていません。会社に意思が届けば成立します。会社が業者との対話を拒んでも、退職の意思が到達している事実は変わりません。止まるのは有給や退職日といった条件の話で、退職そのものは進みます。
- 会社が「業者とは話さない」と言ってきました
-
民間企業型に対しては、それが正当な言い分です。交渉権限がないことを会社側も知っているからです。ただし退職の意思を伝えること自体は本人の使者として行えるので、退職は成立します。条件のすり合わせまで必要なら、労働組合型か弁護士型に頼むことになります。労働組合には団体交渉権があるため、会社は正当な理由なく拒めません。
- 「弁護士監修」なら交渉してもらえますか?
-
できません。監修は弁護士が内容を確認しただけで、事業者は弁護士法人ではないからです。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で和解その他の法律事務を扱うことを禁じています。有給の消化や退職日の調整は条件のすり合わせなので、ここに当たると考えられています。交渉が必要なら「弁護士が運営」か「労働組合が運営」を選んでください。
- 追加料金が出ることはありますか?
-
業者によります。料金表の額に何が含まれるかを、申し込む前に確認してください。確認するのは、対応の範囲、追加料金が発生する場面、失敗したときの返金、支払いのタイミングの4つです。とくに「あと払い」と「完全後払い」は別物で、前者は決済サービスによる立て替えなので退職できなくても支払い義務が発生します。
- 失敗して会社に居づらくなりませんか?
-
退職代行を使った時点で、その会社に戻る前提はなくなります。円満に続けることを目指すなら、そもそも使う場面ではありません。逆にいえば、戻らないと決めているなら居づらさは問題になりません。ただし同じ業界の狭い地域では話が伝わることがあるので、そこが気になるなら弁護士型のほうが対応は静かです。
- 有給が消化できなかったらどうなりますか?
-
残った日数分の給与を受け取れないまま終わります。20日残っていれば約1か月分です。退職時は会社が時季変更権を使えないので、本来は通る話です。通らなかったとしたら、押し返せる相手に頼まなかったからだと考えてください。この話し合いに入れるのは労働組合型と弁護士型だけです。
- 連絡が取れなくなったらどうすればいいですか?
-
まず会社へ直接、退職の意思を書面で送ってください。内容証明郵便なら到達した日が記録に残ります。退職の効力は業者ではなく本人の意思で生じるので、業者が動かなくても退職は進められます。支払い済みの料金については消費生活センターに相談できます。防ぐには、申し込む前に運営元の表記と返事の速さを確認するしかありません。
- トラブルが起きたらどこに相談できますか?
-
内容によって分かれます。料金や契約に関することは消費生活センター、会社との労働問題は労働基準監督署か総合労働相談コーナー、いずれも無料です。業者が交渉権限のない範囲に踏み込んでいた場合は、弁護士会にも相談窓口があります。ただし相談で解決するのは起きたことの後始末なので、申し込む前の確認のほうが早く済みます。
まとめ:起きてから対処するより、選ぶときに防ぐほうが早い
要点を整理します。
- トラブルは5つに集約され、そのうち3つは運営元の類型を確認するだけで防げる
- 民間企業型が交渉できないのは、弁護士法72条があるから
- 労働組合が例外なのは、団体交渉権があるから
- 「弁護士監修」と「弁護士が運営」はまったく違う
- 「あと払い」と「完全後払い」も別物。 前者は退職できなくても支払い義務が出る
- 会社が業者を拒んでも、退職そのものは2週間で成立する
- 申し込む前に5つ聞く。答えが曖昧なところは避ける
自分が何を頼みたいのかを先に決めてください。 そこが決まると、選ぶ相手は自動的に決まります。


