有給を消化してから辞めたいなら、労働組合型を選んでください。 民間企業型では、その交渉ができません。
退職代行の広告はどれも似た文言が並びます。即日対応、成功率100%、追加料金なし。ここで見落とされるのが運営元です。運営元が違うと、法律上できることが変わります。
この記事では、労働組合が運営しているサービスに絞って比較します。順位はつけません。どれも対応範囲がほぼ同じで、違いは向いている人のほうにあるからです。
この記事でわかること
- 労働組合型の料金・支払い方法・向いている人
- 労働組合だけが交渉できる法律上の理由
- 「労働組合と提携」と書かれている業者の見分け方
- 労働組合型では足りないケース
先に結論です。どれも労働組合が運営しているので、有給や退職日の交渉まで扱えます。 違いは料金と支払い方法、それに対象が男女どちらかだけです。
結論:横に並べます
先に一覧を出します。
| サービス | 対象 | 料金 | 支払い方法 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 円満退職ユニオン | 男女 | 22,000円 | 公式で確認 | 費用を抑えたい・相談だけ先にしたい |
| 【男の退職代行】 | 男性 | 公式で確認 | 銀行振込・クレカ・コンビニ・キャリア決済・楽天ペイ・Paidy翌月後払い | 支払い方法を選びたい男性 |
| 【わたしNEXT】 | 女性 | 公式で確認 | 銀行振込・クレカ・コンビニ・キャリア決済・楽天ペイ | 女性 |
(2026年8月時点。料金と対応は各公式サイトの表示をご確認ください)
どれも労働組合が運営しているので、対応範囲は同じです。 有給消化や退職日の調整といった交渉まで頼めます。
ここが効くのは、辞める前から有給を取りにくい職場です。私が運送の現場にいたころ、有給を全部使い切って辞めた人はほとんど見ませんでした。人手が足りない職場ほど「取れる空気ではない」からで、辞めるときも同じことが起きます。

選び分けは1行で終わります。
| 状況 | 選ぶもの |
|---|---|
| とにかく費用を抑えたい | 円満退職ユニオン(22,000円) |
| 手元に現金がない男性 | 男の退職代行(Paidy翌月後払い) |
| 女性 | わたしNEXT |
費用を抑えたいなら、この段階で決めて構いません。この記事で比べた中では22,000円がいちばん安く、相談は無料です。

なぜ労働組合だけが交渉できるのか
ここが記事の中心です。料金ではなく、ここで選んでください。
退職代行は運営元によって3つに分かれます。できることは法律で決まっています。
退職代行は運営元によって、できることが変わります。ここを間違えると、お金の話がまったく進みません。
| 運営元 | 退職の伝達 | 有給・未払い分の交渉 | 訴訟の代理 |
|---|---|---|---|
| 民間企業型 | できる | できない | できない |
| 労働組合型 | できる | できる | できない |
| 弁護士型 | できる | できる | できる |
民間企業が会社とお金の交渉をすると、弁護士法違反にあたる恐れがあります。これを非弁行為といいます。資格のない人が法律事務を行うことです。
民間企業が会社と条件の交渉をすると、弁護士法違反(非弁行為)にあたる恐れがあります。根拠は弁護士法(e-Gov法令検索)の第72条です。弁護士以外が報酬を得て法律事務を扱うことを禁じています。
では、なぜ労働組合はできるのか。労働組合には団体交渉権があるからです。
これは日本国憲法第28条で保障されている権利で、労働組合法がその手続きを定めています。労働者が団結して使用者と交渉することは、法律が正面から認めています。
つまり、労働組合型は「弁護士の代わり」ではなく、まったく別の根拠で交渉しています。 資格の抜け道ではありません。

「労働組合と提携」は労働組合型ではありません
申し込む前に確認してほしい表現があります。
| 公式サイトの表現 | 意味 |
|---|---|
| 労働組合が運営 | 労働組合型。交渉できる |
| 労働組合と提携 | 運営は民間企業。案件を組合に渡す形 |
| 弁護士監修 | 運営は民間企業。助言を受けているだけ |
「提携」と「監修」は、運営元そのものを表していません。
判断に迷ったら、公式サイトの運営者情報を見てください。そこに労働組合の名前が書かれていなければ、労働組合型ではありません。無料相談の段階で直接聞くのが確実です。

円満退職ユニオン|この記事で比べた中では22,000円がいちばん安い
円満退職ユニオンは、労働組合法人が運営しているサービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | 労働組合法人(京都府労働委員会の資格審査を経た法適合労働組合) |
| 料金 | 一案件一律22,000円・追加料金なし |
| 内訳 | 組合加入費3,000円+組合活動費1,000円+組合費(3か月分)18,000円 |
| 相談 | 無料 |
| 対応 | 全国対応(オンライン可)。受付10:00〜20:00 |
| その他 | 退職できなかった場合の返金規定あり(条件つき) |
(2026年8月時点。公式サイトと組合規約で確認)
内訳を公開しているのは、この記事で比べた中ではここだけです。何にいくら払うのかが分かります。
対応の範囲も規約に書かれています。勤務先への加入通知、団体交渉、退職日の調整、有給休暇取得に関する交渉、貸与品や私物の返却の調整、最終給与その他退職条件の確認。そのうえで「弁護士法に抵触する法律事務は行いません」と自分で線を引いています。
正直に書いておきます。2026年4月20日に法人登記された、新しい組織です。公式サイトにも「結成間もない組織です」と書かれています。実績の積み上がりで選ぶなら、他のサービスのほうが先に始まっています。

男の退職代行|支払い方法の幅が広い
【男の退職代行】は、合同労働組合「toNEXTユニオン」が運営する男性専門のサービスです。
- 退職の相談は無料
- 支払い方法にPaidy翌月後払いを選べる
- 銀行振込・各種クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済・楽天ペイにも対応
- 依頼後の追加料金なし
- 退職できなかった場合の全額返金保証
- 転職・起業・独立のサポートが無料
特徴は支払い方法の幅です。 Paidyの翌月後払いを選べるので、手元に現金がなくても申し込めます。決済サービスが立て替える形なので、料金そのものが変わるわけではありません。
もうひとつ挙げるなら、辞めた後のサポートが独立まで含まれている点です。辞めて次に何をするかが決まっていない人には、この幅が効きます。

わたしNEXT|女性専門で、対応範囲は同じ
【わたしNEXT】は、同じ合同労働組合「toNEXTユニオン」が運営する女性専門のサービスです。
- 退職の相談は無料
- 銀行振込・各種クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済・楽天ペイに対応
- 依頼後の追加料金なし
- 転職・起業・独立のサポートが無料
対応範囲は男性版とまったく同じです。 有給消化などの交渉ができます。
「人手不足の職場に気を遣ってしまう」「強い上司に言い出せない」という相談が多いと公式サイトでも触れられています。辞めにくさの理由が職場の悪さではなく、情のほうにあるという形です。
私も営業を辞めるとき、お世話になった人の顔が浮かんで3ヶ月言い出せませんでした。その状態で「言えばいいだけ」という助言は、まったく役に立ちません。

労働組合型では足りないケース
ここまで勧めておいて逆のことを書きますが、労働組合型でも届かない場面があります。

| 状況 | 労働組合型 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 有給を消化したい | ⭕ 交渉できる | — |
| 退職日を調整したい | ⭕ 交渉できる | — |
| 未払いの残業代を請求したい | △ 交渉はできる | 応じない場合は弁護士型 |
| 退職金を請求したい | △ 交渉はできる | 応じない場合は弁護士型 |
| 会社から損害賠償を請求された | ✕ | 弁護士型のみ |
| 訴訟になった | ✕ | 弁護士型のみ |
団体交渉権は交渉までの権利で、訴訟の代理権は含まれません。 相手が最後まで応じない場合、そこで止まります。
取り戻したい金額がはっきりしているなら、最初から弁護士法人ガイアの退職代行サービスのような弁護士型を選ぶほうが早い場合があります。料金は25,300円と高くなりますが、途中から切り替えると、また最初から説明することになります。

支払い方法が理由で決まることもあります
手元に現金がないと、そこで止まります。3つの支払い方を並べます。
| サービス | 支払い方 |
|---|---|
| 円満退職ユニオン | 一律22,000円・追加料金なし。総額が申し込みの時点で確定します |
| 【男の退職代行】 | Paidyの翌月後払いに対応。銀行振込・クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済・楽天ペイも選べます |
| 【わたしNEXT】 | 銀行振込・クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済・楽天ペイ |
(2026年9月時点。最新の内容は各公式サイトでご確認ください)
「いま払えないが、来月なら払える」という状態なら、翌月後払いが使える【男の退職代行】です。給料日と申し込みの日が離れているときに効きます。
いっぽうで、総額を先に確定させたいなら円満退職ユニオンです。追加料金がないぶん、あとから増える心配がありません。
支払い方法は、途中で変えられないことがあります。申し込みの前に、使える方法を確認してください。
辞めた後のことも先に決めておく
男の退職代行とわたしNEXTには、辞めた後の転職サポートが無料でついています。ただしサポートがあることと、次が決まることは別です。
辞める前に求人だけでも見ておくと、退職日を決めるときの判断が変わります。「次が決まっていない不安」で退職日を先延ばしにする人が多いためです。
20代ならゼロイチ転職のような未経験業界に強いエージェントで、どんな求人があるかを見ておくだけでも十分です。

よくある質問
- 労働組合に加入する必要がありますか?
-
多くの場合、依頼と同時に組合員になる形を取ります。団体交渉は組合員のために行うものだからです。組合費が料金に含まれているか、別途かかるかはサービスによって異なるので、申し込み前に確認してください。
- 一番安いのはどれですか?
-
この記事で比べた中では円満退職ユニオンの22,000円です。相談は無料で、追加料金もないと案内されています。
- 男性が「わたしNEXT」を使うことはできますか?
-
女性専門のサービスなので、男性は【男の退職代行】のほうになります。運営している労働組合は同じで、対応範囲も同じです。
- 労働組合型なら何でも交渉できますか?
-
交渉はできますが、訴訟の代理はできません。会社が最後まで応じない場合は弁護士型が必要になります。金額の回収を確実にしたいなら、最初から弁護士型を選ぶ判断もあります。
- アルバイトや契約社員でも使えますか?
-
使えます。雇用形態にかかわらず、労働者であれば団体交渉の対象になります。ただし料金が雇用形態によって変わるサービスもあるので、申し込み前に確認してください。
- 即日で辞められますか?
-
連絡はその日のうちに入ります。ただし退職日そのものは、有給の残日数や引き継ぎの扱いによって変わります。期間の定めのない雇用なら、民法第627条により申し入れから2週間で終了します。
- 会社から直接連絡が来ませんか?
-
依頼後の連絡はすべて業者が受けます。ただし会社が本人に連絡すること自体を100%止めることはできません。連絡が来た場合の対応も、申し込み時に確認しておいてください。
まとめ:交渉が要るかどうかで決まります
要点を整理します。
- 有給を消化したいなら労働組合型から。民間企業型では交渉できない
- 交渉できる根拠は団体交渉権。弁護士の抜け道ではない
- 「労働組合と提携」「弁護士監修」は運営が民間企業という意味
- 対応範囲はどれも同じ。違うのは料金と対象と支払い方法
- 訴訟になる可能性があるなら、最初から弁護士型
料金の差は数千円です。そこで迷うより、自分に交渉が必要かどうかを先に決めてください。
決めきれないときは、無料相談で「自分のケースは交渉が要るか」を聞いてください。その答えで類型が決まります。


