独立して失ったもの・得たもの|会社を辞めて自分で商売を始めた話

独立して一番はっきり変わったのは、収入ではありません。休んだ日に何も入ってこない、という事実のほうです。

会社員のときは、体調を崩しても給料が出ました。有給を使えば済む話でしたし、長く休むことになっても傷病手当金がありました。独立してからは、休んだ分がそのまま消えます。

この記事は、独立を勧めるものでも止めるものでもありません。実際に何が変わったのかを、良い面と悪い面の両方から書きます。数字は出しませんが、感覚として書ける部分は全部書きます。

この記事でわかること

  • 会社員を辞めて実際に失ったもの
  • それでも戻りたいと思わない理由
  • 独立してから初めて分かった会社の価値
  • 独立が向いていない人の見分け方
目次

結論:失ったのは「守り」、得たのは「選べる幅」

先に全体を出します。

会社員を辞めて独立したときに失ったものと得たものを対比した図解
会社員 独立
休んだとき 有給・傷病手当金がある 何も入ってこない
収入 毎月決まった日に入る 月によって波がある
手続き 総務がやってくれる 全部自分
働く時間 決められている 自分で決める
仕事の内容 割り当てられる 自分で決める
上限 給与テーブルの中 自分の動き方次第

失ったものは、全部「守り」に関するものでした。 得たものは、全部「選べる幅」でした。

どちらが良いかは人によって変わります。私は後者を取りましたが、守りを外すことのきつさを軽く見ていたとは思っています。

守りを外す前に、いまの自分が外でいくらになるかは知っておいてください。 そこが分かると、独立と転職を同じ土俵で比べられます。ゼロイチ転職は20代なら無料で面談が受けられます。

失ったもの

順に書いていきます。

1. 休んだ日の収入

これが一番大きい変化です。

会社員のときは、風邪で1日休んでも給料は減りませんでした。有給がありましたし、長期で休むことになったときも、傷病手当金という制度がありました。

私は運送の仕事をしていたころ、体を痛めて長期離脱したことがあります。あのとき収入が完全に止まっていたら、独立を考える余裕そのものがありませんでした。

いま同じことが起きたら、収入は止まります。それが独立です。

在職中に体調を崩している人は、辞める前に傷病手当金の条件を確認してください。 辞めてからでは使えない制度があります。

退職前に確認しておくこと
退職前にやることリスト|辞めてからでは間に合わない8項目 退職の手続きには、在職中にしか終わらないものがあります。有給の残日数、退職金規程、社内預金、確定拠出年金、傷病手当金、未払いの証拠。辞めてからでは取り返せない8項目を、期限つきで並べました。

2. 毎月同じ日に入ってくる安心

金額の多い少ないより、入る日が決まっていることの価値を後から知りました。

会社員のときは、月末に何が入るかを考えずに済みました。独立後は、月によって差が出ます。良い月と悪い月の落差そのものより、「来月がどうなるか分からない」という状態が続くことのほうが消耗します。

慣れます。ただ、最初の数ヶ月はここが一番きつい部分でした。

3. 手続きを誰かがやってくれること

保険、年金、税金。会社員のときは総務が全部やってくれていました。

独立すると全部自分です。辞めた直後の数ヶ月が、一番重い時期になります。 住民税は前年の所得に対して請求が来ますし、健康保険は会社が半分払ってくれていた分がなくなります。

期限があるものも多く、過ぎると選べなくなる手続きがあります。健康保険の任意継続は退職日の翌日から20日以内です。協会けんぽのよくある質問に書かれているとおりで、この期限を過ぎると選択肢が1つ消えます。

独立する前に確認すること
会社員を辞めて独立する前に確認すること|踏み切る前の6項目 会社員から独立する前に確認しておくことを、実際に辞めた経験からまとめました。失業保険が出ないケース、健康保険と年金の切り替え、独立とフリーランスの違い、そして独立しないほうがいい人の判断軸まで。踏み切る前に読んでください。

4. 同僚

これは事前に想像していませんでした。

運送の仕事は一人で回る時間が長い仕事でしたが、それでも朝と夕方には人がいました。誰かと交わす一言があるだけで、その日の重さは変わります。

独立してからは、それがありません。誰とも話さない日が普通にあります。

会社を辞めたい理由が人間関係にある人ほど、ここは軽く見えるはずです。私も辞める前はそう思っていました。ただ、嫌な人間関係がなくなることと、人がいなくなることは別です。

ここまでが失ったものです。先に見ておくべきなのは、こちらのほうだと思っています。

得たもの

こちらも順に書きます。

独立して得たものを3つに整理した図解

1. 動く時間を自分で決められる

これが想像以上に大きい部分でした。

会社員のときは、始まる時間と終わる時間が決まっていました。運送の仕事なら、荷物の量で終わりの時間が動きます。自分の都合は関係ありません。

いまは、いつ動くかを自分で決めます。体調が悪い日に無理をしない、という選択ができます。 収入は止まりますが、無理をして長引かせるよりましだと判断できます。

会社員のときは、この判断そのものができませんでした。

2. 体を使わない稼ぎ方に変えられた

正確に書くと、これは独立の効果ではありません。「体力が資本の仕事から離れた」効果です。

運送の仕事は嫌ではありませんでした。お客さんに喜ばれますし、顔なじみもできます。時間が経つのも早い。ただ、体力の限界は必ず来ます。

辞めた理由は、職場が嫌だったからではなく、この一点でした。

同じ理由で悩んでいる人は、独立でなくても解決できます。体を使わない職種に転職する道もあります。実際、そちらのほうが現実的な場合が多いはずです。

売るスキルから作る必要があるなら、デザイントーストのように夜間に受けられる講座もあります。在職中に始めるほうが、収入がある分だけ落ち着いて続けられます。

20代ならゼロイチ転職のように未経験業界への転職を扱うエージェントがありますし、勤務地を絞りたいなら転職支援サービスでも相談できます。独立と転職を最初から比べてください。

3. 上限が自分の動き方で決まる

会社員のときは、どれだけ動いても給与テーブルの中でした。

独立してからは、やった分がそのまま結果になります。逆に言えば、やらなければゼロです。 良い面と悪い面が同じ場所にあります。

効率よくやれば、会社員時代とはまったく違う暮らしができるとは感じています。金銭面だけの話ではありません。ただ、「効率よくやれば」の部分が全部自己責任だということも、同時に書いておきます。

得たものと失ったもの、どちらが自分にとって重いか。 それは外の条件を知らないと比べられません。

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いま何をしているか

物販をやっています。仕入れて、売る。それだけの商売です。

客は自分で見つけます。案件をもらう働き方ではないので、売れなければ収入はありません。ここが、いわゆるフリーランスとは違う部分です。

あとは、趣味の延長で動画を作っています。こちらはまだ収入にはなっていません。独立したから何かが自動的に始まるわけではなく、やりたいと思ったことを順に試しているだけです。

方針は「やりたいと思ったことはなんでもやる」です。会社員のときにできなかったのは、この部分でした。

案件を請ける形の独立を考えているなら、経験がそのまま単価になる分野から入るほうが現実的です。New Ace(ニューエース)のように、経験者へ案件を紹介するサービスもあります。

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それでも会社員に戻りたいとは思わない理由

失ったものを並べておいて矛盾するようですが、戻りたいとは思っていません。

理由は単純で、失ったものは全部「あらかじめ用意されていた安心」だったからです。自分で作ったものではありません。

会社員のときの安心は、会社が続いている限りのものでした。実際、私がいた会社でも体制が厳しくなって上司が次々と辞めていく時期がありました。用意された安心は、用意した側の都合で変わります。

独立後の不安定さは自分の責任です。きついですが、誰かの判断で急に変わることはありません。この差が、私には大きかったです。

ただ、これは私の場合です。扶養する家族がいて、収入が止まると即座に困る状況なら、判断はまったく変わります。

独立が向いていない人

正直に書きます。次に当てはまるなら、いま独立する必要はありません。

いま独立しないほうがいい4つの状態を整理した図解
こういう状態 理由
今の職場が嫌なだけ 独立は逃げ場になりません。客が来なければ収入はゼロです
やりたい商売が決まっていない 辞めてから探すと、貯金が減る速度のほうが早いです
体調を崩している 休むと収入が止まります。治すほうが先です
家族の同意がない 不安定な時期に、家庭内で説明し続けることになります

「会社が嫌だから辞める」と「やりたいことがあるから辞める」は、辞めた後の粘り方がまったく違います。

前者なら、まず転職を見てからで遅くありません。私自身、営業から運送へ移った経験があります。環境を変えるだけで解決することは、実際にあります。

辞めたいが、何がしたいか分からないとき
仕事を辞めたいけど何がしたいかわからない人へ やりたいことは先に見つかりません。4つの業種を転々とした経験者が、「避けたいこと」から決める方法と、一人で整理できないときの選択肢を解説します。

辞める工程で止まっているなら

独立を決めても、辞める日が決まらないと何も始まりません。

私は営業を辞めるとき、伝えるまでに3ヶ月かかりました。職場がひどかったからではありません。逆で、お世話になった人の顔が浮かんで言い出せませんでした。

運送の仕事を辞めるときも、長くやってきた分だけ踏ん切りがつきませんでした。辞めにくさは、職場の悪さとは比例しません。

伝える工程だけを外に出す方法があります。ただし業者によってできることが違います。

退職代行は運営元によって、できることが変わります。ここを間違えると、お金の話がまったく進みません。

運営元退職の伝達有給・未払い分の交渉訴訟の代理
民間企業型できるできないできない
労働組合型できるできるできない
弁護士型できるできるできる

民間企業が会社とお金の交渉をすると、弁護士法違反にあたる恐れがあります。これを非弁行為といいます。資格のない人が法律事務を行うことです。

独立の前に確認しておきたいのは、退職金や未払い分が残っていないかです。独立資金に直結する部分なので、ここは交渉できる相手でないと動きません。

弁護士法人ガイアの退職代行|交渉から訴訟まで対応
弁護士法人が運営する退職代行
退職代行を運営元で比べる
退職代行おすすめ比較|運営元で選ばないと失敗します 退職代行は料金ではなく運営元で選びます。民間企業型は伝えるだけ、労働組合型は交渉まで、弁護士型は請求まで。できることが法律で決まっているためです。主要なサービスを類型別に比べて、自分に必要な範囲から選べるようにまとめました。

ここまでが実感です。独立が向いていないなら、会社を変えるほうが早い場合もあります。

よくある質問

独立してから収入が安定するまでどのくらいかかりましたか?

金額は出しませんが、月ごとの波が気にならなくなるまでには時間がかかりました。最初の数ヶ月は「来月がどうなるか分からない」という状態そのものが消耗します。この期間を貯金で耐えられるかが、続けられるかどうかを分けます。

会社員に戻ろうと思ったことはありますか?

戻りたいとは思っていません。ただ、失ったものが軽かったという意味ではありません。有給も傷病手当も退職金もない状態は、実際にきついです。

独立して後悔していることはありますか?

辞めたこと自体に後悔はありません。あるとすれば、辞める決断をしてから実際に伝えるまでの時間が長すぎたことです。悩んでいる期間は、仕事のパフォーマンスも落ちていました。

独立と転職で迷っています

両方を具体的に見てから決めてください。片方しか見ないまま決めると、比べたことになりません。ゼロイチ転職のようなエージェントは相談だけでも使えます。転職で環境を変えたうえで、数年かけて準備してから独立するという順番もあります。

貯金はどのくらい必要ですか?

金額ではなく月数で考えてください。生活費の何ヶ月分あるかです。住民税と国民健康保険の負担が加わるので、会社員のときの生活費で計算すると足りなくなります。

家族の反対がある場合はどうしましたか?

私の場合は、辞める前に生活費の実額を把握できる期間がありました。数字を出せる状態にしてから話すのと、気持ちだけで話すのとでは、相手の受け取り方が変わります。

まとめ:守りを外す覚悟があるかどうか

要点を整理します。

  • 失ったのは有給・傷病手当・毎月決まった収入・同僚。全部「守り」に関するもの
  • 得たのは動く時間・仕事の内容・上限。全部「選べる幅」
  • 戻りたいと思わないのは、失ったものが自分で作った安心ではなかったから
  • ただし扶養する家族の状況によって、判断はまったく変わる
  • 職場が嫌なだけなら、独立ではなく転職で解決することが多い

独立して分かったのは、会社員のときの安心は、思っていたより大きかったということです。それを外す判断をした以上、戻るかどうかは自分で決めるしかありません。

いま迷っている段階なら、辞める前に転職の選択肢も並べてください。比べた結果として独立を選ぶのと、比べずに選ぶのとでは、辞めた後の粘り方が変わります。

独立する前に確認すること
会社員を辞めて独立する前に確認すること|踏み切る前の6項目 会社員から独立する前に確認しておくことを、実際に辞めた経験からまとめました。失業保険が出ないケース、健康保険と年金の切り替え、独立とフリーランスの違い、そして独立しないほうがいい人の判断軸まで。踏み切る前に読んでください。

20代で、独立の前に転職の求人も並べておきたいなら。

制度・料金・サービス内容は変更されることがあります。金額や条件は、各公式サイトで最新の内容をご確認ください。法的な判断が必要な場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門機関にご相談ください。本サイトの方針は編集方針と免責事項に記載しています。

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この記事を書いた人

元営業職・運送会社勤務を経て、現在フリーランスとして独立。

20代で営業職を経験しました。辞めると決めてから上司に伝えるまで、3ヶ月かかって無駄な時間をすごしました。自分で退職を切り出す難しさを経験した立場から、辞めたい人が損をしないための情報をまとめています。労働問題の専門家ではないため、法律の解釈が関わる部分については、公的機関や専門家の情報を必ず併記するようにしています。

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