「代わりを見つけてから辞めて」と言われました。
そう言われて、辞められないまま続けている人がいます。
この記事でわかること
- 代わりを探す義務はないこと
- アルバイトでも2週間で辞められること
- 週2日勤務でも有給が3日つくこと
- 辞めた後の給料は請求すれば7日以内であること
結論:代わりを探すのは、会社の仕事です
「代わりを見つけてから」という決まりは、どこにもありません。

条文にあるのは、こちらです。民法627条1項。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
正社員向けの条文ではありません。アルバイトでも同じです。
シフトに穴があくのは会社の問題です。人を集めるのは、雇っている側の仕事です。

強く止められている場合
言い方が強くなっているなら、条文がもう一つあります。労働基準法5条です。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
辞めさせないために圧をかけるのは、この条文の話になります。

「辞めるなら罰金」は結べません
シフトを飛ばしたら罰金、と言われることがあります。

労働基準法16条です。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
「辞めたら1万円」のような取り決めは、そもそも結べません。
ただし、禁止されているのはあらかじめ額を決めておくことです。実際に生じた損害の賠償請求まで封じる条文ではありません。「絶対にありえない」とは書けません。
金額を言われたら、その日付と内容をメモに残してください。

週2日でも、有給は3日つきます
「バイトに有給はない」と思っている人が多いところです。

厚生労働省のリーフレットに、こう書かれています。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。
日数は、週に何日入っているかで決まります。
| 週の勤務日数 | 6か月後 | 1年6か月後 | 3年6か月後 |
|---|---|---|---|
| 4日 | 7日 | 8日 | 10日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 8日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 5日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 |
週2日のシフトでも、半年で3日つきます。週4日なら7日です。

発生する条件は2つだけです
同じリーフレットには、発生の要件が2つ挙げられています。雇入れの日から6か月継続勤務していることと、全労働日の8割以上出勤していることです。
この2つを満たせば発生します。申請の有無や、会社が制度を用意しているかは関係ありません。
なお週の所定労働時間が30時間以上なら、日数は正社員と同じです。上の表は、週4日以下かつ週30時間未満の場合のものです。
「忙しいから」では断れません
有給を申し出ると、忙しいと言われることがあります。

同じリーフレットです。
年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければなりません。
会社には日を変える権利(時季変更権)がありますが、そこにも歯止めがあります。
単に「業務多忙だから」という理由では、時季変更権は認められません。
「人がいないから無理」は、そのままでは理由になりません。


休憩がないなら、そこも条文があります
辞めたい理由が労働時間なら、ここも見てください。

労働基準法34条1項は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないとしています。さらに3項で、その休憩時間を自由に利用させることも求めています。
電話番をしながらの休憩は、自由に利用できていません。

6時間ちょうどなら休憩は不要です。条文は「六時間を超える場合」なので、1分でも超えれば45分が必要になります。6時間5分でも対象です。

契約期間が決まっている場合は別です
「3か月契約」「1年契約」のように期間が決まっているアルバイトもあります。
その場合、2週間の話は当てはまりません。期間の定めがある契約は、別の条文で考えます。やむを得ない事由があれば民法628条により直ちに解除できますし、明示された労働条件が事実と違うなら労働基準法15条2項により即時に解除できます。
まず契約書に期間の定めがあるかを見てください。書かれていなければ、期間の定めのない契約として2週間の話になります。

辞めた後の給料は、請求すれば7日以内です
「最後の給料は次の給料日に」と言われることがあります。
労働基準法23条1項です。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
請求すれば7日以内です。戻るのは賃金だけではありません。積立金や保証金など、名前を問わず預けているものも同じ7日以内です。
請求した日を記録に残してください。


よくある質問
- 「代わりを見つけてから」と言われました
-
応じる義務はありません。そのような決まりは条文にありません。民法627条1項では、期間の定めのない雇用は、いつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過することによって終了するとされています。
シフトに穴があくのは会社の問題で、人を集めるのは雇っている側の仕事です。強く止められている場合は、労働基準法5条で、労働者の意思に反して労働を強制することが禁止されています。
- バイトでも2週間で辞められますか
-
辞められます。民法627条1項は雇用形態を問いません。正社員向けの条文ではないので、アルバイトでもパートでも同じです。
契約期間が決まっている場合は扱いが変わります。3か月契約のように期間の定めがあるなら、別の条文になります。まず契約書に期間の定めがあるかを確認してください。
- 辞めたら罰金と言われました
-
労働基準法16条で、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約は禁止されています。「辞めたら1万円」のような取り決めは、口頭でも書面でも効力がありません。
ただし禁止されているのはあらかじめ額を決めておくことで、実際に生じた損害の賠償請求まで封じるものではありません。金額を言われた日付と内容をメモに残してください。
- アルバイトにも有給はありますか
-
あります。厚生労働省のリーフレットでは、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に年次有給休暇を与えなければならないとされています。
日数は週の勤務日数で決まります。週4日なら6か月後に7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日でも1日です。要件は、雇入れの日から6か月継続勤務していることと、全労働日の8割以上出勤していることの2つです。
- 有給を申し出たら忙しいと言われました
-
そのままでは理由になりません。同じリーフレットに、年次有給休暇を取得する日は労働者が指定することによって決まる、と書かれています。
会社には日を変える権利がありますが、単に「業務多忙だから」という理由では時季変更権は認められない、とも明示されています。人がいないから無理、という説明はここに当たります。
- 休憩がもらえません
-
労働基準法34条1項で、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければならないとされています。
さらに3項で、休憩時間は自由に利用させなければならないとされています。電話番をしながら、レジの前に座ったまま、という形は自由に利用できていません。6時間ちょうどなら休憩は不要ですが、1分でも超えれば45分が必要です。6時間5分でも対象になります。
- 最後の給料が振り込まれません
-
労働基準法23条1項により、請求すれば7日以内です。次の給料日まで待つ必要はありません。同じ条文で、積立金や保証金など預けているものも7日以内に返還されます。
争いがある場合でも、異議のない部分は7日以内に支払うと定められています。請求した日を記録に残しておいてください。
- 学生ですが同じですか
-
同じです。労働基準法も民法627条も、学生かどうかで区別していません。有給の比例付与も、週の勤務日数と勤務時間で決まります。
ただし付与日数の基準になるのは、実際に入ったシフトの数ではなく、契約で決まっている「所定労働日数」です。テスト期間だけシフトを減らしても、契約上の日数が変わっていなければ判断は変わりません。自分が週何日として契約しているかを確認してください。
- 店長に言い出せません
-
言えないこと自体は珍しくありません。ただ、言わないまま続けると、辞める話が始まりません。
まず伝える相手を確認してください。店長で止まるなら、その上の本部やエリアの担当がいます。それも難しい場合は、間に入ってもらう方法があります。辞める意思を伝えるだけなら、代行に頼むことができます。
まとめ:探すのは会社、辞めるのはあなたです
整理します。
- 代わりを見つける義務はない。そういう条文はない
- 申し入れから2週間で終了する(民法627条1項)
- 週2日でも有給は3日つく。6か月継続勤務と8割以上出勤が要件
- 辞めた後の給料は、請求すれば7日以内(労働基準法23条1項)
「人がいないから」は、辞められない理由になりません。
言い出せないなら、伝える相手を変えるか、間に入ってもらう方法があります。
