肉体労働から事務職に移りたい|狭いのは一般事務だけです

体がきつい。だから、体を使わない仕事に移りたい。

そう考えたとき、まず浮かぶのが「事務職」だと思います。

実際、事務の仕事を探している人の8割以上が「一般事務」に集まっています。

この記事でわかること

  • 一般事務の有効求人倍率が0.28倍だということ
  • 同じ事務でも2.43倍の職種があること
  • いま居る場所の倍率と比べてどれだけ違うか
  • だから探す順番が変わること
目次

結論:事務職が狭いのではありません。一般事務が狭いだけです

先に数字を出します。

事務の種類ごとに有効求人倍率が大きく違うことを示した図解
事務の種類 有効求人倍率
事務用機器操作員 0.26倍
一般事務従事者 0.28倍
会計事務従事者 0.56倍
営業・販売事務従事者 0.86倍
生産関連事務従事者 1.28倍
運輸・郵便事務従事者 2.43倍

出典は一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表です。

同じ「事務」なのに、9倍近い開きがあります。

多くの人は、この差を知らないまま「事務職」で検索します。そして0.28倍のところに、まとめて集まります。

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職種の絞り方から相談できると、探す時間がかなり変わります

私は、なぜ移る人が少ないのか分かっていませんでした

宅配のドライバーをしていたころ、辞めていく同僚をたくさん見ました。

辞めていく同僚の行き先を思い返している様子

私がいた現場では、別の業界へ移った人はごくわずかでした。多くは委託になって配達を続けるか、社内で内勤に移るかのどちらかです。

当時は「みんな運送が好きなんだな」くらいに思っていました。人間関係が良かったから残るのだろう、とも考えていました。

数字を見て、そうではないと分かりました。

好きだから残ったのではありません。外に出る側の扉が、そもそも狭かったのです。

辞めた人がどこへ行ったかは別の記事に書きましたが、行き先の分布は、この求人倍率の形とほぼ同じでした。

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運送業界を辞めたい|同僚たちが実際に選んだ4つの道 運送を辞めた同僚が実際どこへ行ったのかを、現場にいた人間が書きました。委託、内勤への異動、会社の設立、別業界。内勤で落ちる給料や、会社を立ち上げた人の資金まで、見てきた4つの形を整理します。

いま居る場所と、行きたい場所の差

同じ統計で、いま居る場所の倍率も出ています。

肉体労働の職種と事務職で有効求人倍率がどれだけ違うかを比べた図解
職業 有効求人倍率
保安職業従事者 5.85倍
建設・採掘従事者 4.80倍
介護サービス職業従事者 3.70倍
自動車運転従事者 2.42倍
生産工程従事者 1.55倍
職業計 1.01倍
運搬・清掃・包装等従事者 0.63倍
一般事務従事者 0.28倍

自動車運転が2.42倍、一般事務が0.28倍。求職者1人あたりの求人が、8倍以上違います。

体を使う仕事は、人が足りていません。だから求人が多い。その足りていない場所から、余っている場所へ移ろうとしているわけです。

だから「思い立ってから探す」と、時間がかかります。

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営業の経験がある人なら、体を使わない職種の選択肢は広がります

なぜ一般事務にだけ人が集まるのか

数を見ると、はっきりしています。

一般事務の有効求職は425,688人。事務従事者ぜんたいの509,617人のうち、8割以上が一般事務に集まっています。

一方、求人は120,372件しかありません。

「事務職に移りたい」と考えた人が、全員ここに来ています。

一般事務は、業界も職種も問わずに応募できます。だから前の仕事が何であれ入口に立てます。入口が広いことが、そのまま倍率の高さになっています。

逆に言えば、応募の条件が細かい事務ほど空いています。経験を問う求人は、その経験を持っている人にとっては競争が少ない場所です。

運輸・郵便事務は2.43倍です

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

運輸郵便事務は自動車運転と同じ水準で求人が空いていることを示した図解

運輸・郵便事務従事者の有効求人倍率は2.43倍。自動車運転従事者の2.42倍と、ほぼ同じ水準です。

つまり、いま居る場所と同じくらい入りやすい。

配車、運行の管理、伝票や運賃の処理、荷物の問い合わせ対応。運送や物流の経験が、そのまま効く事務です。

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生産関連事務も1.28倍あります

工場や製造の現場にいた人なら、こちらも見ておいてください。

生産関連事務従事者は1.28倍。生産の計画、工程の管理、資材の手配などです。生産工程従事者(1.55倍)から移る場合、現場を知っていることが前提になる仕事なので、経験が武器になります。

「現場を離れる」と「経験を捨てる」は、別のことです。

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会計事務は0.56倍。ただし資格で変わります

会計事務は0.56倍で、一般事務の2倍あります。

ここは経験より資格が効く分野です。簿記の資格を取ってから動く人が多く、在職中に準備できます。体を使う仕事を続けながら取れるというのが利点です。

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新しく出た求人で見ても、0.63倍です

ここまでの数字は有効求人倍率です。決まらずに残っている求人と求職者の比なので、「新しく出た求人だけ見れば違うのでは」と思うかもしれません。

一般事務は新規求人倍率0.63倍から有効求人倍率0.28倍まで下がり求職者が滞留していることを示した図解

同じ統計に、新規求人倍率も載っています。

職業 新規求人倍率 有効求人倍率
運輸・郵便事務 4.65倍 2.43倍
生産関連事務 2.49倍 1.28倍
営業・販売事務 1.62倍 0.86倍
会計事務 1.03倍 0.56倍
一般事務 0.63倍 0.28倍

一般事務は、その月に新しく出た求人で見ても0.63倍です。新しく出た求人より、新しく申し込んだ人のほうが多いということです。

そして有効になると0.28倍まで落ちます。決まらないまま残っている人が、積み上がっているということです。

裏を返せば、求人が世に出てから動いていては間に合いません。運輸・郵便事務のように4.65倍あるところでも、新着に早く触れられるかで結果が変わります。

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新しく出た求人を先に知れるかどうかで、決まる早さが変わります

社内の異動は、条件がひとつしか出てきません

社内で内勤に移った人たちも見てきました。給料は落ちますし、仕事は電話でのクレーム対応が中心になります。

そこは以前に書いたとおりなので、ここでは繰り返しません。

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運送業界を辞めたい|同僚たちが実際に選んだ4つの道 運送を辞めた同僚が実際どこへ行ったのかを、現場にいた人間が書きました。委託、内勤への異動、会社の設立、別業界。内勤で落ちる給料や、会社を立ち上げた人の資金まで、見てきた4つの形を整理します。

この記事で言いたいのは、その先です。

社内の異動なら、条件は会社が決めます。出てくるのはひとつだけで、比べる相手がいません。

同じだけ給料が落ちるなら、外の条件も見てから決めたほうが損をしません。

比べたうえで社内に残るなら、それは納得のある選択になります。比べずに受けると、あとから「あっちはどうだったんだろう」が残ります。

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順番:行き先を決めてから辞めてください

体がきついと、先に辞めたくなります。

一般事務だけを見て探すと時間がかかるため職種を広げてから動く順番を示した図解

ただ、0.28倍のところを、収入が止まった状態で探すのはきついはずです。順番はこうなります。

# やること
① 一般事務だけを見るのをやめる(運輸・郵便事務、生産関連事務、会計事務も見る)
② いまの経験がどの事務に効くかを確かめる
③ 在職中に応募して、条件を比べる
④ 決まってから、退職日を出す

③がいちばん飛ばされます。そして飛ばすと、収入が止まった状態で0.28倍の椅子取りゲームをすることになります。

体が限界なら、順番は変わります

痛みが出ている、眠れていないという段階なら、探すより先に休むほうが先です。

在職中にしかできない手続きがあります。傷病手当金は在職中に条件を満たしておく必要がありますし、仕事中のケガなら労災です。辞めてからでは間に合わないものがあるので、そちらを先に確認してください。

受診の記録も、早いほど効きます。「そのうち治る」で先延ばしにすると、あとから証明できるものが残りません。

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よくある質問

未経験でも事務職に移れますか

移れます。ただし一般事務の有効求人倍率は0.28倍で、求職者1人あたり0.28件しか求人がありません。有効求職425,688人に対して有効求人120,372件という数字です。

未経験で一般事務だけを狙うと、経験者と同じ椅子を取り合うことになります。運輸・郵便事務(2.43倍)や生産関連事務(1.28倍)のように、いまの経験が効く事務から見たほうが早く決まります。

運輸・郵便事務とは何をする仕事ですか

配車、運行の管理、伝票や運賃の処理、荷物の問い合わせ対応などです。物流の現場を知らないと成り立たない仕事なので、ドライバーや倉庫の経験がそのまま評価されます。

令和8年6月の有効求人倍率は2.43倍で、自動車運転従事者の2.42倍とほぼ同じです。有効求人6,325件に対し有効求職2,601人なので、応募が集中していない状態です。

事務職に移ると給料はどのくらい下がりますか

職種と会社によるので一律には言えません。ただ現場の手当や歩合がなくなる分は、確実に下がります。

求人票の基本給だけで比べると見誤ります。いまの給与明細から手当と残業代を抜いた額を出して、それを比較の出発点にしてください。社内の内勤に移った場合にどのくらい落ちるかは、運送業界の記事のほうに書いています。

資格を取ってからのほうがいいですか

会計事務を狙うなら効きます。有効求人倍率は0.56倍で一般事務の2倍あり、ここは経験より資格が評価される分野です。簿記は在職中でも準備できます。

一方、運輸・郵便事務や生産関連事務は経験のほうが効くので、資格待ちで時間を使う必要はありません。狙う職種によって答えが変わります。

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30代・40代でも移れますか

年齢だけで判断されるわけではありません。ただ未経験の一般事務に限れば、0.28倍の中で若い人と競うことになるので、条件は厳しくなります。

経験が効く職種を選ぶほど、年齢の不利は小さくなります。運輸・郵便事務や生産関連事務は現場を知っていることが前提の仕事なので、年数がそのまま材料になります。

辞めてから探したほうが集中できませんか

0.28倍の職種を、収入が止まった状態で探すことになります。一般事務は有効求職が425,688人いるので、決まるまでの期間が読めません。

失業保険は自己都合退職だと給付制限がかかります。在職中に応募して条件を比べ、決まってから退職日を出す順番のほうが安全です。体が限界という場合は、この限りではありません。

倉庫の作業なら体は楽になりますか

運搬・清掃・包装等従事者の有効求人倍率は0.63倍で、事務ほどではないものの求人は多くありません。そして作業は交代制で夜勤が入ることが多い職場です。

体力の使い方が変わるだけで、負担が消えるわけではありません。夜勤が無理な人にとっては、いまより厳しくなることもあります。

いまの仕事は求人が多いと聞きました

そのとおりです。自動車運転従事者は2.42倍、建設・採掘従事者は4.80倍、介護サービス職業従事者は3.70倍で、いずれも職業計の1.01倍を大きく上回っています。

人が足りていない場所にいて、余っている場所へ移ろうとしています。これが移りにくさの正体です。

自分の市場価値が低いわけではありません。行き先の椅子の数が違うだけです。だから準備の時間が要ります。

まとめ:見る場所を変えると、倍率が変わります

整理します。

  • 一般事務は0.28倍。事務従事者の有効求職の8割以上がここに集まっている
  • ただし運輸・郵便事務は2.43倍。自動車運転の2.42倍とほぼ同じ
  • 生産関連事務は1.28倍、会計事務は0.56倍。同じ事務でも中身で違う
  • いま居る場所は求人が多い。だから移るには時間が要る

「事務職は無理」ではありません。「一般事務だけを見ると狭い」というだけです。

見る場所を変えれば、経験がそのまま材料になります。探す順番を変えてください。

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この記事を書いた人

元営業職・運送会社勤務を経て、現在フリーランスとして独立。

20代で営業職を経験しました。辞めると決めてから上司に伝えるまで、3ヶ月かかって無駄な時間をすごしました。自分で退職を切り出す難しさを経験した立場から、辞めたい人が損をしないための情報をまとめています。労働問題の専門家ではないため、法律の解釈が関わる部分については、公的機関や専門家の情報を必ず併記するようにしています。

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