育休のまま辞めたい。でも給付金が消えるのが怖い。
2025年4月から、そこが変わりました。
この記事でわかること
- 途中で辞めた月の給付がどうなるか
- いくら出るか(上限額まで)
- 会社から賃金が出た場合の調整
- 復帰しないと決めたときの順番
結論:離職日までが支給対象になりました
まずここが変わりました。

厚生労働省の育児休業等給付の内容と支給申請手続に、こう書かれています。
支給単位期間の途中で離職した場合、離職日(喪失日の前日)までが支給対象です。ただし、2025(令和7)年3月31日以前に離職した被保険者については、喪失日の属する支給単位期間の前の支給単位期間までが支給対象です。
2025年3月31日以前は、辞めた月がまるごと対象外でした。月の途中で辞めると、その1か月ぶんが消えていたということです。
いまは離職日までが日割りで出ます。「月末まで待たないと損をする」という古い情報が残っているので、そこは更新してください。
なお「支給単位期間」とは、育児休業を開始した日から1か月ごとに区切った期間のことです。暦の月ではありません。


いくら出るのか
金額の根拠は条文にあります。

休業開始時賃金日額(中略)に次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて当該各号に定める日数(中略)を乗じて得た額の百分の五十(当該育児休業(中略)を開始した日から起算し当該育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して百八十日に達するまでの間に限り、百分の六十七)に相当する額
計算式は次の形です。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業の開始から181日目以降は50%)
支給日数は原則30日です。休業終了日を含む支給単位期間は、その終了日までの日数になります。
上限と下限も決まっています。休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円(令和9年7月31日までの額)。支給日数30日で計算すると、こうなります。
| 給付率 | 支給上限額 | 支給下限額 |
|---|---|---|
| 67%(180日まで) | 332,454円 | 64,380円 |
| 50%(181日目以降) | 248,100円 | 48,045円 |
上限に当たる人は、賃金が高くても332,454円で頭打ちです。


会社から賃金が出ると、調整が入ります
育休中に会社から支払いがある場合です。

雇用保険法61条の7第7項が、こう定めています。
当該賃金の額に当該支給単位期間における育児休業給付金の額を加えて得た額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の八十に相当する額以上であるときは、(中略)百分の八十に相当する額から当該賃金の額を減じて得た額を、当該支給単位期間における育児休業給付金の額とする
厚生労働省の資料は、これを3つに分けています。
| 支払われた賃金 | 育児休業給付金 |
|---|---|
| 13%以下(181日目以降は30%以下) | 満額(67%または50%) |
| 13%超〜80%未満 | 80% − 賃金額 |
| 80%以上 | 支給されません |
賃金と給付を足して80%が天井です。会社が「育休中も少し払う」と言ってきた場合、この線を超えると給付が減ります。額によっては手取りが変わらないこともあるので、先に計算してください。


2025年4月から13%の上乗せがあります
もう一つ新しい給付です。

出生後休業支援給付金といいます。育児休業給付金に13%が上乗せされる仕組みです。
計算式は「休業開始時賃金日額 × 対象期間内の休業日数(28日が上限) × 13%」。支給日数28日の場合、上限60,205円・下限11,658円です。
67%と合わせると80%になります。育児休業給付金は非課税で、社会保険料も免除されるため、手取りで見ると休業前に近い水準になる設計です。

なお同じ子について3回以上の育児休業をした場合、3回目以後は支給されません(雇用保険法61条の7第2項。厚生労働省令で定める場合を除く)。配偶者も育児休業を取る場合は、対象が1歳2か月まで延びます(同8項)。


復帰しないと決めたときの順番
決めたあとにやることです。
辞めること自体は止められません。期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申し入れから2週間で終了します。育児休業中であることは、この条文の要件に影響しません。
順番はこうなります。
| # | やること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1 | 支給単位期間の区切りを確認する | 暦の月ではなく、休業開始日から1か月ごと |
| 2 | 退職日を決める | 離職日までが支給対象。社会保険料は末日在籍で1か月分変わる |
| 3 | 会社へ申し出る | 引き継ぎの範囲を先に決める |
| 4 | 離職票を受け取る | 失業保険の手続きに要る |
育児休業給付金は、退職後の生活費ではありません。休業して復帰する人のための給付です。辞めたあとの収入は、失業保険の側で考えることになります。
ただし失業保険は「すぐに働ける状態」であることが前提です。育児で当面働けない場合は、受給期間の延長という手続きがあります。ハローワークで確認してください。


よくある質問
- 育休中に辞めたら、その月の給付金はどうなりますか
-
2025年4月以降の離職であれば、離職日(喪失日の前日)までが支給対象です。支給単位期間の途中で辞めても、そこまでの日数分が出ます。
2025年3月31日以前に離職した人は扱いが違い、喪失日の属する支給単位期間の前の支給単位期間までが支給対象でした。つまり辞めた月がまるごと対象外だったということです。古い解説記事はこの前提で書かれているので、日付を確認してください。
- 金額はいくらになりますか
-
休業開始時賃金日額に支給日数を掛けて、67%(育児休業の開始から181日目以降は50%)を掛けた額です。支給日数は原則30日です。
上限と下限があります。休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円(令和9年7月31日までの額)。支給日数30日なら、給付率67%で上限332,454円・下限64,380円、50%で上限248,100円・下限48,045円です。
- 会社から給料が出ていても、もらえますか
-
金額によります。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下(181日目以降は30%以下)なら、給付金は満額です。
13%超〜80%未満の場合は、80%から賃金額を引いた額になります。80%以上の場合は支給されません。雇用保険法61条の7第7項が、賃金と給付を合わせて80%を超える場合の調整を定めています。
- 復帰しないと返還を求められますか
-
育児休業給付金に、復帰を条件とする返還の規定はありません。支給された期間について要件を満たしていれば、そのぶんは受け取れます。
ただし会社が独自に上乗せしていた手当や、復帰を条件とした一時金がある場合は、その規程によります。就業規則や労働協約に返還の定めがないかを確認してください。
- 辞めると伝えるのはいつがいいですか
-
退職日を決めてからです。離職日までが支給対象になるので、支給単位期間の区切りと、社会保険料の扱いを先に確認してください。
社会保険料は、その月の末日に加入しているかどうかで1か月分変わります。育児休業中は保険料が免除されていますが、退職するとその扱いも終わります。退職日を1日ずらすだけで金額が動くので、計算してから伝えるほうが確実です。
- 出生後休業支援給付金とは何ですか
-
2025年4月から始まった給付で、育児休業給付金に13%が上乗せされます。計算式は休業開始時賃金日額×対象期間内の休業日数(28日が上限)×13%です。
支給日数28日の場合、上限60,205円・下限11,658円となっています。育児休業給付金の67%と合わせると80%になり、給付が非課税で社会保険料も免除されることから、手取りで見ると休業前に近い水準になる設計です。
- 何回でも取れますか
-
同一の子については、3回目以後の育児休業に育児休業給付金は支給されません。雇用保険法61条の7第2項が定めていて、厚生労働省令で定める場合だけが例外です。
また配偶者が子の1歳に達する日以前に育児のための休業をしている場合は、対象が1歳2か月まで延びます(同条8項)。どちらも自分の状況に当てはまるかは、ハローワークで確認してください。
- 辞めたあとの収入はどうなりますか
-
育児休業給付金は休業して復帰する人のための給付なので、退職後の生活費には充てられません。辞めたあとは失業保険の側で考えることになります。
ただし失業保険は、すぐに働ける状態であることが前提です。育児で当面働けない場合は、受給期間の延長という手続きがあります。この手続きには期限があるので、離職票が届いたらハローワークで先に確認してください。
まとめ:辞めた月も、日割りで出ます
整理します。
- 2025年4月以降の離職なら、離職日までが支給対象(それ以前は月がまるごと対象外)
- 金額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%、181日目以降は50%
- 支給日数30日で上限332,454円(67%の場合)
- 会社から賃金が出ると、合わせて80%が天井。80%以上なら支給されない
- 2025年4月から13%の上乗せ(出生後休業支援給付金)
支給単位期間の区切りは、暦の月ではありません。育児休業を開始した日から1か月ごとです。退職日を決める前に、そこを確かめてください。


