「失業保険で最大310万円」という広告があります。その金額自体は、制度の上限としてありえます。
ただ、本当に大事なのはそこではありません。同じ人が同じ会社を辞めても、判定ひとつで160万円以上変わります。
金額の決まり方は単純で、日額 × 日数です。この2つを押さえれば、自分がいくらになるかが見えます。
この記事でわかること
- 日額の上限(2026年8月1日に改定された最新の額)
- 日数が90日から360日まで変わるしくみ
- 制度上の最大額と、その条件
- 自分がいくらになるかを出す手順
結論:金額は「日額 × 日数」で決まります
まず全体の形です。ここが分かれば、あとは自分の数字を入れるだけになります。

| 要素 | 何で決まるか |
|---|---|
| 日額(1日あたり) | 辞める前6か月の賃金。ただし年齢ごとに上限あり |
| 日数(何日分か) | 年齢・雇用保険に入っていた期間・辞めた理由 |
見落とされやすいのは日数のほうです。 同じ会社に同じ年数いても、辞め方が違えば日数は倍以上変わります。
私が調べていて驚いたのも、そこでした。金額の差は給料の差ではなく、日数の差で決まっている部分が大きいということです。
なお、自分の金額だけ先に知りたいなら、この記事を読まなくても出せます。日本退職サポートセンターは受給額の診断を無料で行っていて、離職票が届く前でも区分と日数を出せます。申し込みではないので、金額を見てから決められます。
① 日額の上限は、2026年8月1日に変わりました
日額は「賃金日額」のおよそ50〜80%です。賃金日額は、辞める前6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割った額になります。
そして、年齢ごとに上限が決められています。 ここが天井です。
| 年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
この額は毎年8月1日に見直されます。 上の数字は2026年8月1日現在のものです。
出典は基本手当について(ハローワークインターネットサービス)です。
給料が高かった人ほど上限に当たります。月給が60万円でも100万円でも、日額は同じところで止まります。
② 日数は、辞め方で3つに分かれます
ここが金額を大きく動かす部分です。

1. 倒産・解雇などで辞めた場合
特定受給資格者と呼ばれる区分です。一部の特定理由離職者も同じ扱いになります。
| 年齢 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
2. 自己都合で辞めた場合
こちらは年齢に関係なく、期間だけで決まります。
| 被保険者だった期間 | 日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
同じ20年勤めても、150日と330日です。 倍以上違います。
3. 就職が著しく困難と認められる場合
障害のある方などが対象になる区分です。ここがいちばん長くなります。
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
出典は基本手当の所定給付日数(ハローワークインターネットサービス)です。
この差は、辞めるときの動き方で決まります。 辞めた後では戻せません。

同じ人でも、判定ひとつで164万円変わります
ここがこの記事でいちばん大事なところです。
45歳以上60歳未満で20年勤めた人が辞めるとします。日額は同じ9,110円です。 それでも、こうなります。
| 判定 | 日数 | 受け取る総額 |
|---|---|---|
| 自己都合 | 150日 | 1,366,500円 |
| 倒産・解雇などの区分 | 330日 | 3,006,300円 |
| 差 1,639,800円 |
同じ会社を、同じ年数勤めて、同じ日に辞めても164万円です。
30代でも同じ構造で、日額8,270円なら約149万円の差になります。この差は給料ではなく、離職票にどう書かれるかで決まります。
自己都合と書かれていても、確定ではありません
離職理由は会社が離職票に記入します。その内容に納得できない場合、ハローワークに申し出ることができます。
体調を崩して辞めた、労働条件が契約と違った、退職を勧められた。こうした事情があるのに自己都合とされているなら、区分が変わる可能性があります。
問題は、自分がどの区分に当たるかを素人が判断しにくいことです。 特定受給資格者と特定理由離職者の範囲は細かく分かれていて、離職票が届いてから調べ始めると間に合わないこともあります。
日本退職サポートセンターでは、受給額の診断を無料で受けられます。 自分の区分と日数がいくつになるのかを、先に確認しておく用途で使えます。
心身の不調で辞めた自己都合は、扱いが違います
ここは見落とされやすい部分です。自己都合でも、正当な理由があれば「特定理由離職者」という区分になります。
ハローワークが示している範囲の1つ目が、これです。
体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
うつなど心身の不調で辞めた場合が、ここに当たります。 出典は特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス)です。
変わるのは日数ではなく、「いつから」と「資格」です
正確に書きます。この区分になっても、給付日数は一般の離職者と同じです。変わるのは別の2つです。
| 通常の自己都合 | 特定理由離職者 | |
|---|---|---|
| 給付が始まるまで | 待つ期間がある | その期間がなくなります |
| 受給に必要な加入期間 | 離職前2年間に12か月 | 離職前1年間に6か月 |
待つ期間がなくなるのは大きいです。 収入が止まってから最初の振込までが、そのぶん短くなります。
そして加入期間が6か月でよくなるので、通常なら受給できない人が受給できることがあります。
本人が申し出ないと、通常の自己都合のままです
会社は離職票に「自己都合」と書きます。心身の不調が理由だったかどうかは、会社が判断することではありません。
ハローワークに事情を伝えて、はじめて区分の検討が始まります。診断書などの資料を求められることもあります。
つまり、知らなければそのまま通常の自己都合で処理されます。 ここも、自分がどの区分に当たるかを先に確認しておく理由になります。
上限まで届くと、約328万円になります
上限どうしを掛け合わせると、天井が出ます。
9,110円 × 360日 = 3,279,600円
これが公式の数字から計算できる最大額です。条件はこうなります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 45歳以上60歳未満(日額の上限がいちばん高い層) |
| 区分 | 就職が著しく困難と認められる区分 |
| 期間 | 雇用保険に1年以上入っていた |
| 賃金 | 日額が上限に届く水準だった |
4つとも満たして、はじめて届く数字です。
「最大310万円」という広告について
失業保険の申請サポートを提供する会社が「最大310万円」と表示していることがあります。
制度の上限を考えれば、ありえない数字ではありません。日本退職サポートセンターの公式サイトにも、こう添えられています。310万円は最大金額のため、条件を満たさない場合はそれより下がる可能性がある。
つまり、自分がどこまで届くかは、区分と日数を出してみないと分からないということです。
そしてそれは、無料で出せます。診断だけ受けて、金額を見てから判断して構いません。
自分の金額は、3つ調べれば出ます
難しい計算はありません。順番はこうです。

1. 賃金日額を出す
計算の基になる額です。ハローワークの説明です。
離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)
賞与は入りません。 月給25万円の人なら、6か月で150万円。180で割って8,333円です。
2. 日額を出す
賃金日額のおよそ50〜80%が、実際に振り込まれる1日あたりの額です。
賃金の低い方ほど高い率となっています
低い人ほど手厚くなる作りです。60歳以上65歳未満だけ45〜80%になります。
そのうえで、年齢ごとの天井があります。
| 年齢 | 日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
先ほどの賃金日額8,333円の人なら、率をおよそ6割として日額は5,000円前後です。
3. 日数を表で確認する
上の3つの表から、自分の年齢・期間・辞め方に当たるところを見ます。
掛けると、差がはっきりします
日額5,000円の人と、上限9,110円の人で並べます。
| 自己都合 20年以上 |
倒産・解雇など 45〜60歳・20年以上 |
|
|---|---|---|
| 日数 | 150日 | 330日 |
| 日額5,000円 | 75万円 | 165万円 |
| 日額9,110円 | 136万円 | 300万円 |
縦に動くのは給料の差、横に動くのは辞め方の差です。 横のほうが大きく動きます。
正確な額はハローワークが計算します。ただし、どの表に当たるかは離職票の記載で決まってしまいます。 出てから気づいても、話は前に戻せません。
受け取り始める時期は、別の話です
金額とは別に、「いつから」という論点があります。自己都合で辞めた場合は、給付が始まるまでに待つ期間があります。
ここは2025年に変わった部分でもあるので、別記事にまとめています。

申請の不備で減ることがあります
金額が決まるのは、離職票の内容とハローワークでの手続きです。離職理由がどう書かれているかで、日数の表そのものが変わります。
自己都合とされているが実態は違う、という場合は、ハローワークに申し立てができます。まず離職票の記載を自分の目で確認してください。
自分で進めると、判断のところで損をします
窓口に行けば手続きは進みます。問題は、行く前に決まってしまう部分です。
| 判断するところ | 間違えるとどうなるか |
|---|---|
| 自分は特定受給資格者に当たるか | 日数が180日減る。164万円の差 |
| 体調を理由に辞めた場合の区分 | 特定理由離職者になるかどうかで日数が変わる |
| 離職票の記載に異議を出すか | 会社が書いた理由のまま確定する |
| 申請書類に不備がないか | 本来もらえるはずの額が減る |
どれも、窓口に着く前に決まっています。離職票が届いてから調べ始めると、間に合わないことがあります。
そして、間違えても誰も教えてくれません。 減った状態のまま支給されて終わります。
日本退職サポートセンターを使うと、何が変わるか
公式サイトに書かれている内容です。
| 内容 | |
|---|---|
| 受給が始まるまで | 条件を満たせば最短1ヶ月で受給が開始されます |
| 受け取る量 | サポートを受けた人は最大12ヶ月分に増額される場合が多い |
| 相談の費用 | 何回でも無料。受給額の診断も無料 |
| 対応 | 土日祝も対応。全国どこでもオンラインで完結 |
| 体制 | 顧問弁護士など専門家がサポート |
| 秘密 | 会社や家族を含む第三者に、受給が知らされることはありません |
自己都合で辞めた人でも使えます。 自己都合でも会社都合でも、手続きとスケジュールは同じです。
まず、自分の金額を知るところからで構いません
違いは、窓口に着く前についています。

受給額の診断は無料です。申し込みではないので、金額を見てから決められます。
離職票が届く前に受けておけば、自分がどの区分で何日分なのかを持った状態で動けます。迷っている時間が、そのまま損になりません。

そもそも辞められていないなら
日数の表を見て分かるとおり、辞め方によって金額が変わります。 ただし「会社都合にしてもらう」ことを目的にするのは順序が逆です。
いま止まっているのが「辞めると言えない」ところなら、そこを先に片付けるほうが早くなります。
退職代行は運営元によって、できることが変わります。ここを間違えると、お金の話がまったく進みません。
| 運営元 | 退職の伝達 | 有給・未払い分の交渉 | 訴訟の代理 |
|---|---|---|---|
| 民間企業型 | できる | できない | できない |
| 労働組合型 | できる | できる | できない |
| 弁護士型 | できる | できる | できる |
民間企業が会社とお金の交渉をすると、弁護士法違反にあたる恐れがあります。これを非弁行為といいます。資格のない人が法律事務を行うことです。
どれを選ぶかは、頼みたい範囲で決まります
3類型のうち、どこまで頼めるかが違います。自分がどれに当たるかで絞ってください。
| 頼みたいこと | 対応できる型 |
|---|---|
| 有給を消化してから辞めたい | 労働組合型 |
| 伝えるところだけ止まっている | どの型でも可。受付時間で選ぶ |
| 未払いの給料や退職金の請求まで | 弁護士型 |
有給を消化してから辞めたいなら、交渉ができる労働組合型が対象です。円満退職ユニオンは労働組合の運営です。

伝えるところだけで止まっているなら、退職代行辞スルが当日の朝でも動きます。

未払いの給料や退職金が絡むなら、請求まで扱えるのは弁護士型だけです。弁護士法人ガイアの退職代行サービスがこの枠にあたります。


この制度が買っているのは、時間です
私の友人に、心身の調子を崩して辞めた人がいます。会社都合ではなく、自己都合でした。
その人は失業保険を受け取りながら、じっくり職を探しました。焦って決める必要がなかったからです。
探している間に、体調が戻っていきました。そして無事に再就職しています。
先に休めたから、選べました
順番が逆だったら、たぶん違う結果でした。収入が止まった状態で焦って決めた仕事が、また合わなかったという話は珍しくありません。
金額の話に見えて、この制度が実際に渡してくれるのは時間です。90日なら3か月、330日なら11か月。 その間に、立て直すことも、選び直すこともできます。
だから日数を知る意味があります。自分に何か月あるのかが分かって、はじめて探し方を決められます。
探す先は、受け取りながら見ておけます
受給しながら求職活動をすることは、制度上の前提です。むしろ活動していないと受給できません。
20代ならゼロイチ転職、勤務地を絞りたいなら転職支援サービスが窓口になります。登録だけしておけば、条件のいい求人が出たときに動けます。


よくある質問
- 失業保険は最大でいくらもらえますか?
-
公式の数字から計算すると、天井は約328万円です。日額の上限9,110円(45歳以上60歳未満)に、給付日数の上限360日を掛けた額です。ただしこの額に届くには、45歳以上60歳未満・就職が著しく困難と認められる区分・被保険者期間1年以上・賃金が上限に届く水準、の4つが同時に必要です。自己都合で辞めた場合は90〜150日の枠になり、日額5,000円なら45万〜75万円です。
- 日額の上限はいつ変わりますか?
-
毎年8月1日に見直されます。この記事の額は2026年8月1日現在で、30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円です。ハローワークインターネットサービスに掲載されています。
- 自己都合でも会社都合でも金額は同じですか?
-
日額の計算は同じですが、日数が変わります。20年以上勤めた人で比べると、自己都合は150日、倒産・解雇などの区分では45歳以上60歳未満で330日です。日額9,110円なら136万円と300万円で、164万円の差になります。
- 給料が高いほど多くもらえますか?
-
途中までは増えますが、二重に頭打ちになります。まず給付率が賃金の低い人ほど高く設定されていて、50〜80%の幅があります。そのうえで日額そのものに年齢別の上限があります。上限に届く水準の人は、それ以上給料が高くても日額は変わりません。なお賞与は計算に入らないので、年収が同じでも賞与の割合が大きい人ほど日額は低く出ます。
- 離職票の理由が実態と違います
-
ハローワークに申し立てができます。離職票-2には本人が記入する欄と、事実と異なる場合に異議を書く欄があります。判断するのはハローワークで、会社が書いた理由がそのまま通るわけではありません。ただし判断材料は自分で出すことになるので、辞める前に記録を残しておいてください。日数が倍以上変わる部分です。
- 自分がどの区分に当たるか分かりません
-
特定受給資格者と特定理由離職者の範囲は細かく分かれていて、心身の不調や職場の事情など、自己申告しないと通らないものが含まれます。申し出なければ、通常の自己都合のまま処理されます。 受給額の診断を無料で受けられるサービスがあるので、離職票が届く前に確認しておくと動きやすくなります。
- 受け取りながら転職活動をしてもいいですか?
-
求職活動をしていることが受給の前提です。むしろ活動しないと受給できません。日数が分かれば、いつまでに決めるかの目安になります。
- 実際より多く申告したらどうなりますか?
-
やめてください。ハローワークは不正受給について、返還命令に加えて不正受給額の2倍以下の納付を命じると明記しています。最大で3倍を戻すことになり、以後の基本手当も受けられなくなります。実態どおりに申し出るだけで足ります。
まとめ:先に日数を見てください
要点を整理します。
- 金額は日額 × 日数。どちらにも上限があります
- 日額の上限は2026年8月1日改定。45歳以上60歳未満で9,110円
- 日数は辞め方で変わる。自己都合は最大150日、倒産・解雇などは最大330日
- 就職が著しく困難と認められる区分は最大360日
- 制度上の最大は9,110円 × 360日 = 約328万円。4つの条件が揃った場合です
- 「最大◯◯万円」という表示は、条件を満たさなければ下がります
給料の差より、日数の差のほうが金額を動かします。 自分がどの表に当たるかを、辞める前に見ておいてください。
制度は改正されます。最新の内容はハローワークインターネットサービスで確認してください。
金額の見通しが立ったら、次は健康保険と住民税です。同じ時期に来ます。



