同じ部署から、続けて人がいなくなる時期があります。
一人が辞めて、しばらくして、また一人。そのうち「次は誰だろう」と考えるようになります。
この記事でわかること
- 先に辞めたのは、会社が嫌いだった人ではなかったこと
- やる気があった人が板挟みで削られる構造
- 好きだった会社が嫌いになるまでの5段階
- 「自分が変わってしまった」わけではない理由
- いま同じ場所にいる人が、先に確かめておくこと
結論:先に辞めたのは会社が好きだった人でした
人が辞めていく職場では、不満だらけの人から辞めると思われがちです。私がいた会社は逆でした。
仕事のデキる、やる気満々だった人から先にいなくなりました。
同じことで消耗しているなら、辞めるかどうかを決める前に外の相場だけ見ておいてください。ゼロイチ転職なら在職中でも無料で面談が受けられます。
好きだから頑張る。頑張るから任される。任されるほど無理が来る。それで嫌いになって辞めていきます。
そして残された側は「あの人が辞めるなら」と思うことになります。

※ここに書くのは、私がいた会社での体験談です。すべての職場に当てはまるわけではありません。
数字のほうでも、辞める理由は変わってきています
厚生労働省の令和6年雇用動向調査に、転職して次の会社に入った人が前の会社を辞めた理由が出ています。
| 辞めた理由(男性) | 令和6年 | 前年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 給料等収入が少なかった | 10.1% | 8.2% | +1.9 |
| 職場の人間関係が好ましくなかった | 9.0% | 9.1% | −0.1 |
| 会社の将来が不安だった | 7.4% | 5.2% | +2.2 |
| 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 8.6% | 8.1% | +0.5 |
「会社の将来が不安だった」の伸びがいちばん大きいです。「その他の個人的理由」を除けば、上昇幅は全項目で最大でした。
一方で人間関係は横ばいです。女性も13.0%から11.7%へ下がっています。
人間関係が理由で辞める人は増えていません。増えているのは、会社の先行きに不安を感じて辞める人のほうです。
お盆明けに会社へ行きたくないときの見分け方も、判断の材料になります。
やる気があった人ほど、先に辞めていきました
私がいた会社で最初に抜けたのは、第一線でやる気があって、そのまま出世した人たちでした。

「無理」と「やれ」の板挟みになります
現場には、明らかに無理な数字や納期が降りてきます。
現場側は「無理です」と言います。会社側は「やれ」と言います。その真ん中に立たされるのが、出世した人です。
板挟みの何がきついのかを分けると、こうなります。
| 立場 | 言うこと | 抱えるもの |
|---|---|---|
| 会社 | 数字をやれ | 現場の実情は見えていない |
| 中間 | やってくれ | 無理だと分かっている |
| 現場 | 無理です | 言った先が、その人しかいない |
現場から見ると、無理を言ってくるのはその人です。会社から見ると、数字を作れないのもその人です。両方から詰められる位置に、一人だけ立っています。
この位置に立たされてからでは、比べる時間が残っていません。板挟みになる前に、外の相場だけ知っておくほうが早いです。
理由が説明されないまま、毎日が進みます
なぜやるのか、何のためにやるのかが説明されないまま、お互いが不満を持ったまま業務だけが進みます。
理由が説明されないと、現場は「また上が勝手に決めた」と受け取ります。中間の人は、自分でも納得していない指示を、納得した顔で伝えることになります。
説明できない指示を毎日出し続けるのは、想像よりずっと消耗します。
気持ちが分かるからこそ、削られます
ここが、見ていて応えた部分でした。
出世した人は、元はこちら側の人間です。現場がどれだけ無理をしているか、本当に分かっています。
分かっていて、それでも「やれ」と言わなければいけません。
分からない人が言うのなら、まだ楽です。分かっている人が、分かったうえで言わされる。あの立場は、人を削ります。

見ている側も、しんどくなります
そういう人が疲れていくのを、同じ現場で見ることになります。
昨日まで一緒に走っていた人が、板挟みになって表情を変えていきます。それを見るのがつらかった、というのが正直なところです。
見ている側にできることは、あまりありません。
- 文句を言えば、それを受け止めるのもその人
- 黙って従えば、無理が通ったことになって次の無理が来る
- 会社へ直接言えば、その人の管理不足として跳ね返る
どれを選んでも、その人の負担になります。
言えないまま抱え込む構造は、辞めたいのに言い出せないときと同じです。
やがてその人が辞めます。会社が嫌いになった状態で辞めていきます。

好きだった会社が、嫌いになるまでの順番
辞めた人たちを思い返すと、順番はだいたい同じでした。

| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| ① 好きだった | この会社でやっていこうと思っている |
| ② 頑張った | 好きだから、無理も引き受ける |
| ③ 任された | 頑張るので、どんどん任される |
| ④ 板挟みになった | 「やれ」と「無理」の間に立たされる |
| ⑤ 嫌いになった | 好きだった会社が、行きたくない場所に変わる |
①がないと、④までいきません。どうでもいい会社なら、板挟みになる前に断ります。断れないのは、その会社を好きだったからです。
つまり、嫌いだった人が辞めるのではありません。好きだった人が、嫌いにさせられて辞めます。
どこで止められたのかを考えても、答えは出ません
②や③の段階で断っていれば違ったのか、と考える人がいます。
ただ、②で断れる人は、そもそも①がありません。好きだから引き受けたのであって、順番として断る選択肢が出てきません。
止められるとしたら④です。板挟みになったときに、上へ「この数字は無理です」と返せるかどうか。ただしそれを言える会社なら、そもそも④は起きていません。

「自分が変わってしまった」わけではありません
残った側でこれを読んでいる人の中には、こう思っている人がいると思います。
昔はこの会社が好きだったのに、いまは行きたくない。自分が変わってしまったのだろうか。
そうではないと思います。順番を見てもらえば分かりますが、変わったのは会社との関係のほうです。好きだから引き受けて、引き受けたから板挟みになって、そこで削られています。
好きでなければ、そもそも削られていません。
行きたくないと思うようになったこと自体が、それだけ本気で働いた証拠です。

それを見た人は、出世したくなくなります
ここから先が、この話の厄介なところです。
やる気のあった人が板挟みで壊れて辞めていくのを、周りの人間は全部見ています。
そして「ああはなりたくない」と思います。

正直に書きます。私も、上に行くのを断った側の人間です。
昇進の話が来ても、あの立場を見ていたので、やりたいと思えませんでした。給料が上がるとしても、あの板挟みを引き受ける気になれませんでした。
向上心の問題ではありません。あの役を実際に見たうえでの判断です。断った理由は別の記事に分けて書きました。


そして断る人が増えると、上が中から埋まらなくなります。辞めた人の仕事は消えないので、残った人のところへ降りてきます。

いま同じ場所にいる人へ
辞めるかどうかを、いますぐ決める必要はありません。
ただ、確かめておくと後が変わることがあります。

誰が先に辞めたかを見てください
役職者やベテランから抜けているなら、上から崩れている側です。新人が続かない職場とは、意味が違います。
新人が辞めるのは、合わなかったという話で終わります。長くいた人が辞めるのは、長くいたからこそ見えたものがあったということです。

補充されたかどうかを見てください
欠員が出たあと、実際に人が入ったかどうか。3か月動いていないなら、その仕事は残った人に定着したと考えてください。
募集をかけても来ないのか、そもそもかけていないのかでも意味が変わります。求人サイトを見れば、自分の会社が募集を出しているかは確認できます。
同じ求人票が何か月も出たままなら、条件のほうに理由があります。
外の相場を1回だけ見てください
辞めると決めていなくても構いません。いまの経験が外でいくらになるかを知っておくと、残る判断にも根拠ができます。
マーキャリ NEXT CAREERは営業職の経験がある人向けで、無料で相談できます。在職中なら、比べるだけで済みます。

よくある質問
- 人が辞めていく職場に残るのは間違いですか?
-
間違いではありません。通勤や家庭の事情で動かしにくい時期はありますし、人が抜けたことで早く任される会社もあります。判断材料は2つです。1つは補充される見込みがあるかどうかで、欠員のまま3か月以上動いていないなら、その仕事は定着したと考えてください。もう1つは体が戻るかどうかです。連休を挟んでも疲れが取れないなら、それは休養で回復する段階を過ぎています。逆にこの2つがどちらも該当しないなら、残る判断にも十分な根拠があります。
- 上司が辞めるのは、そんなに危ないサインですか?
-
私がいた会社では、そうでした。ただしすべての職場に当てはまるわけではありません。見るべきなのは辞めた事実そのものではなく、そのあと補充されたかどうかです。欠員のまま何か月も動いていない場合は、その仕事が残った人に降りている状態です。逆に、後任がすぐ決まって引き継ぎの時間も取られているなら、組織としては機能しています。役職者が1人辞めただけで判断せず、2人目が出たときに補充されるかどうかを見てください。
- 「会社の将来が不安」で辞めるのは甘えですか?
-
甘えではありません。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職して次の会社に入った人のうち「会社の将来が不安だった」を理由に挙げた男性は7.4%で、前年の5.2%から2.2ポイント増えています。上昇幅としては、その他の個人的理由を除けばいちばん大きい項目でした。同じ期間に「職場の人間関係が好ましくなかった」は男性9.1%から9.0%とほぼ横ばいです。人間関係より、先行きへの不安で動く人が増えています。
- 好きだった会社なのに行きたくない自分が嫌になります
-
順番の問題です。好きだから引き受けて、引き受けたから任されて、任されたから板挟みになります。どうでもいい会社なら、その前に断っているので削られません。行きたくないと思うようになったのは、それだけ本気で働いたからです。自分が変わったのではなく、会社との関係のほうが変わっています。責める相手を間違えないでください。
- 人手不足なのに辞めると言い出せません
-
言い出せないのは、あなたが弱いからではありません。人が減っていると分かっているからです。ただ、採用と配置は会社の仕事であって、あなたが引き受ける問題ではありません。退職の申し入れは民法627条により、期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で契約が終わります。就業規則に1か月前と書いてあっても、法律上は2週間です。どうしても言えない場合は、退職代行という選択肢があります。
- 辞めた人の悪口を言われるのが嫌です
-
人が辞めた直後の職場では、残った側が「裏切られた」という言い方をすることがあります。ただ、それを言っている人も、次に辞めるかもしれません。同調しなくて構いませんし、否定して角を立てる必要もありません。同調も否定もせず、距離を取ってください。自分が辞めるときも同じことを言われる、と考えておくと気が楽になります。
- 転職活動は辞めてからのほうが集中できませんか?
-
自己都合の場合、失業保険が実際に振り込まれるまではおおむね2か月半です。給付制限は2025年4月から1か月に短縮されましたが、手続きと認定日を挟むので、口座に入るまでには時間がかかります。その間の家賃と食費は自分で持つことになります。在職中なら収入が続くので、条件が合わなければ断れます。集中できるかどうかより、断れるかどうかで考えてください。
- いつ動くのがいいですか?
-
体が戻るうちです。連休を挟んでも疲れが取れない状態になってからでは、面接に行く体力も残っていません。残業が増えて休みが減ってから探すのと、いまの状態で比べるのとでは、選べる条件が変わります。辞める決断は後でいいので、外の相場を知るところだけ先に済ませておいてください。
まとめ:先に辞めたのは、会社が好きだった人でした
私がいた会社では、仕事のデキる、やる気満々だった人から先に抜けていきました。
好きだから頑張って、頑張るから任されて、任されるほど板挟みになって、それで嫌いになって辞めていきます。嫌いだった人が辞めるのではなく、好きだった人が嫌いにさせられて辞めます。

いま確かめておくこと
どれも今日から確かめられます。人事に聞く必要もありません。
- 誰が先に辞めたか(役職者やベテランからなら、上から崩れている)
- 補充されたか(3か月動いていないなら、その仕事は定着した)
- 外でいくらになるか(在職中なら比べるだけで済む)
行きたくないと思うようになったのは、あなたが変わったからではありません。それだけ本気で働いた結果です。
辞めると決める必要はありません。決めたときに間に合わないと、選べる幅がそのぶん狭くなります。
人手が足りない職場ほど、辞めると言い出しにくくなります。【男の退職代行】のように労働組合が運営する形なら、退職日や有給の交渉まで任せられます。

