退職後の健康保険はどうする|国保・任意継続・扶養の選び方

会社を辞めた翌日から、いまの健康保険は使えません。 そして、何もしなければ自動では切り替わりません。

選択肢は3つあります。そして、それぞれ期限が違います。 ここを知らないまま数週間が過ぎると、いちばん安い選択肢が消えていることがあります。

この記事では、3つの違いと、どれが自分にとって安いのかを実際に比べる手順を書きます。金額は人によって変わるので、計算そのものは役所でやってもらいます。

この記事でわかること

  • 3つの選択肢と、それぞれの期限
  • 任意継続と国民健康保険のどちらが安いかの調べ方
  • 会社都合で辞めた人だけが使える軽減制度
  • 在職中にやっておくこと
目次

結論:先に期限を押さえてください

金額の比較より、期限のほうが先です。過ぎたら選べなくなるものがあるからです。

退職後の健康保険3つの選択肢と手続き期限を整理した図解
選択肢 期限 窓口
① 任意継続 退職日の翌日から20日以内 協会けんぽ・健康保険組合
② 国民健康保険 退職日の翌日から14日以内 市区町村の役所
③ 家族の扶養に入る 目安5日以内(家族の勤務先による) 家族の勤務先

いちばん短いのは③です。家族の会社を通す手続きなので、こちらの都合では動きません。

いちばん取り返しがつかないのは①です。 20日を過ぎると、任意継続という選択肢そのものが消えます。国民健康保険はいつでも入れますが、任意継続は入り直せません。

申請期限は協会けんぽのよくある質問に書かれています。

この20日は、退職日が決まっていないと数え始められません。 日程の話し合いが止まっているなら、そこが先です。円満退職ユニオンは労働組合が運営しているので、退職日や有給の話し合いまで扱えます。

① 任意継続:いまの保険をそのまま2年

会社の健康保険に、退職後も入り続ける制度です。期間は最長2年間です。

保険料は上がります。在職中は会社が半分払っていたので、その分が自分に乗ります。

ただし「必ず2倍」ではありません。保険料には上限が決められているので、給与が高かった人ほど、2倍までは上がりません。正確な額は加入している健康保険の窓口で確認してください。

任意継続が有利になりやすいのは

扶養している家族がいる場合です。

任意継続 国民健康保険
扶養の考え方 ある(家族が増えても保険料は変わらない) ない(家族の人数分かかる)

配偶者や子どもを扶養に入れている人は、ここで差がつきます。逆に単身なら、この利点は効きません。

途中でやめられます

以前は2年間続ける前提でしたが、いまは本人の申し出でやめられます。「1年目は任意継続、2年目から国保」という選び方もできます。

ただし手続きの扱いは加入先によって違うので、申し込む前に確認してください。

国保と任意継続は、同じ人でも金額が数万円変わります。 両方の見積もりを取ってから決めてください。

② 国民健康保険:計算方法がまったく違います

市区町村が運営する保険です。保険料は前年の所得をもとに計算されます。

ここが落とし穴です。辞めた翌年は、収入がゼロでも前年の所得で計算されます。 働いていたときの所得が基準になるので、想像より高くなることがあります。

会社都合で辞めた人には軽減があります

倒産や解雇で辞めた場合、保険料の軽減を受けられる制度があります。自己都合でも、期間の定めのある契約が更新されなかった場合などは対象になることがあります。

この軽減は、申請しないと適用されません。 離職票を持って役所へ行き、対象になるかを確認してください。

対象になると金額が大きく変わるので、「国保は高い」と決めつける前に必ず聞いてください。

③ 家族の扶養に入る:条件が合えばいちばん安い

配偶者や親の健康保険に入る形です。保険料の負担はありません。

ただし収入の条件があります。そして、失業保険の給付金も収入として扱われることがあります。 「無職だから入れる」とは限りません。

条件と手続きは、家族の勤務先の健康保険によって違います。自分で調べるより、家族から勤務先に確認してもらうほうが早く正確です。

どれが安いかを比べる手順

金額は人によって変わるので、自分のケースで出すしかありません。手順は3つです。

退職後の健康保険をどれにするか比べる3ステップの図解

1. 任意継続の保険料を聞く

加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合)に電話して、「任意継続にした場合の月額」を聞きます。在職中でも教えてもらえます。

2. 国民健康保険を試算してもらう

市区町村の窓口で、「退職したらいくらになるか試算してほしい」と伝えます。前年の源泉徴収票があると早いです。

このとき、軽減の対象になるかも一緒に聞いてください。

3. 扶養に入れるか家族に確認してもらう

条件が合うなら、これがいちばん安くなります。ただし失業保険を受け取る予定があるなら、その金額も伝えて判断してもらってください。

聞くときは、「退職後に扶養に入れるか」「失業保険を受け取る場合はどうなるか」の2つをセットで伝えてもらってください。片方だけだと、後から外れることがあります。

3つ揃えば、比べるだけです。そして、この3つは在職中に全部できます。

退職前に確認しておくこと
退職前にやることリスト|辞めてからでは間に合わない8項目 退職の手続きには、在職中にしか終わらないものがあります。有給の残日数、退職金規程、社内預金、確定拠出年金、傷病手当金、未払いの証拠。辞めてからでは取り返せない8項目を、期限つきで並べました。

よくある間違い

窓口で実際によく起きるものを並べます。どれも、知っていれば避けられます。

退職後の健康保険でよくある間違いを整理した図解
間違い 実際
何もしなくても自動で切り替わる 切り替わりません。手続きをするまで無保険です
病院にかからないから後でいい 国民健康保険はさかのぼって保険料がかかります。得はしません
任意継続は2年やめられない 本人の申し出でやめられます
保険証は自分で持っておける 返却します。使い続けると後で医療費を返すことになります

1つ目は、手続きをしないまま日が過ぎる形です。年金や住民税と違い、健康保険は自分から動かないと何も起きません。

会社が代わりに手続きしてくれるのは、在職中の分までです。 辞めた翌日からは、誰も動きません。

無保険の期間に受診すると、全額が自己負担になります。 あとから加入手続きをすれば戻ってくる場合もありますが、いったん窓口で全額を払うことになります。

退職日は9月30日か、9月29日か|社会保険料が1か月分変わります
退職日は9月30日か、9月29日か|社会保険料が1か月分変わります 退職日を1日ずらすと、社会保険料が1か月分変わります。資格を失うのは退職日の翌日で、喪失した月の保険料はかからないからです。ただし前日に辞めれば得、という話ではありません。次が決まっているかで答えが逆になります。

私が独立したときの話

私は会社員をやめて独立したので、この3つを自分で調べることになりました。

会社員のうちは、保険も年金も総務がやってくれていました。だから「選ぶ」という発想そのものがありませんでした。 保険証は勝手に届くものだと思っていました。

実際に自分で動いてみて分かったのは、役所も健康保険の窓口も、聞けば普通に教えてくれるということです。難しいのは制度ではなく、期限があることを知らないまま日が過ぎることでした。

次が決まっているなら、この選択は短くなります

転職先が決まっていて入社日が近いなら、空白の期間だけをどうするかという話になります。

数日から2週間程度なら、国民健康保険に入って、入社したらすぐ抜けるという形がいちばん手間が少ないことが多いです。

逆に次が決まっていないと、この判断は「いつまで続くか分からない支出」になります。金額の差が毎月効いてきます。

先に求人だけでも見ておくと、期間の見通しが立ちます。20代ならゼロイチ転職のようなエージェントで、どんな求人があるかだけ確認できます。

地方も含めて探すなら転職支援サービスが扱っています。何をやりたいかが決まっていないなら、キャリアに特化したコーチング・サービス【POSIWILL CAREER(ポジウィルキャリア)】のように整理から扱うサービスもあります。

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まだ辞めていないなら、順番があります

この記事を読んでいる時点でまだ在職中なら、先にやっておくと後が楽になることがあります。

  1. 加入している健康保険の名称を確認する(保険証に書いてあります)
  2. 任意継続にした場合の月額を聞く
  3. 役所で国民健康保険を試算してもらう
  4. 扶養に入れるか家族に確認してもらう

辞めた後だと、これを無保険の状態でやることになります。期限も同時に走り始めます。

体調を崩している場合は、健康保険の話より先に確認することがあります。

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辞める日が決まらないなら

退職日が決まらないと、どの期限もいつから数えるのか分かりません。

引き止められて日付が出ないなら、伝える工程だけを外に出す方法があります。ただし業者によってできることが違います。

退職代行は運営元によって、できることが変わります。ここを間違えると、お金の話がまったく進みません。

運営元退職の伝達有給・未払い分の交渉訴訟の代理
民間企業型できるできないできない
労働組合型できるできるできない
弁護士型できるできるできる

民間企業が会社とお金の交渉をすると、弁護士法違反にあたる恐れがあります。これを非弁行為といいます。資格のない人が法律事務を行うことです。

有給を消化してから辞めたい場合、その交渉ができるのは労働組合型からです。円満退職ユニオンは労働組合が運営していて、退職日の調整まで扱えます。

円満退職ユニオン|法適合労働組合
労働組合が運営する退職代行

伝えるところだけ止まっているなら、退職代行辞スルなら当日の朝の申し込みでも間に合います。

退職代行 辞スル|LINEで即日対応
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未払いの給料や退職金が絡むなら、弁護士型でないと請求できません。弁護士法人ガイアの退職代行サービスがこの枠にあたります。

弁護士法人ガイアの退職代行|交渉から訴訟まで対応
弁護士法人が運営する退職代行
退職代行を運営元で比べる
退職代行おすすめ比較|運営元で選ばないと失敗します 退職代行は料金ではなく運営元で選びます。民間企業型は伝えるだけ、労働組合型は交渉まで、弁護士型は請求まで。できることが法律で決まっているためです。主要なサービスを類型別に比べて、自分に必要な範囲から選べるようにまとめました。

よくある質問

手続きをしないとどうなりますか?

無保険の状態になります。病院の窓口で全額を払うことになります。国民健康保険はさかのぼって加入扱いになるため、保険料も後から請求されます。放置して得になることはありません。

20日を過ぎてしまいました

任意継続は選べなくなります。国民健康保険はいつでも加入できるので、市区町村の窓口へ行ってください。軽減の対象になるかも、そこで確認できます。

保険証はいつ返しますか?

退職時に会社へ返却します。扶養に入れていた家族の分も返します。手元に残して使うと、あとで医療費を返すことになります。

国民健康保険と任意継続、どちらが安いですか?

人によって逆転します。扶養している家族がいるなら任意継続が有利になりやすく、単身なら国民健康保険のほうが安いことがあります。両方の金額を出してから決めてください。

会社都合で辞めた場合の軽減とは何ですか?

倒産や解雇などで離職した人を対象に、国民健康保険料を軽くする仕組みです。申請しないと適用されません。離職票を持って市区町村の窓口で確認してください。

失業保険をもらいながら扶養に入れますか?

給付金が収入として扱われ、条件から外れることがあります。家族の勤務先の健康保険によって扱いが違うので、金額を伝えて確認してもらってください。

次の会社が決まっている場合はどうしますか?

入社日までの空白だけを埋める形になります。数日から2週間程度なら、国民健康保険に入って入社時に抜けるのが手間が少ないことが多いです。入社日が確定してから決めてください。

まとめ:金額より先に、期限です

要点を整理します。

  • 健康保険は自動で切り替わりません。手続きをするまで無保険です
  • 任意継続は20日。過ぎると選択肢そのものが消えます
  • 扶養に入れるならいちばん安い。ただし失業保険の扱いに注意
  • 国民健康保険は前年の所得で計算される。会社都合なら軽減の申請を忘れずに
  • 金額は人によって逆転する。3つとも聞いてから比べる

この3つを聞いて回るのは、在職中にできます。辞めてからだと、無保険のまま期限が走ります。

制度の全体像は厚生労働省(我が国の医療保険について)にまとまっています。

辞めた後に使える公的制度
退職後にお金がない人へ|使える公的制度と申請の順番 辞めたら収入がゼロになるとは限りません。傷病手当金・失業保険・求職者支援制度・住居確保給付金など、退職後に使える公的制度を、厚生労働省の一次情報つきで申請の順番に沿って解説します。

制度・料金・サービス内容は変更されることがあります。金額や条件は、各公式サイトで最新の内容をご確認ください。法的な判断が必要な場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門機関にご相談ください。本サイトの方針は編集方針と免責事項に記載しています。

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この記事を書いた人

元営業職・運送会社勤務を経て、現在フリーランスとして独立。

20代で営業職を経験しました。辞めると決めてから上司に伝えるまで、3ヶ月かかって無駄な時間をすごしました。自分で退職を切り出す難しさを経験した立場から、辞めたい人が損をしないための情報をまとめています。労働問題の専門家ではないため、法律の解釈が関わる部分については、公的機関や専門家の情報を必ず併記するようにしています。

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